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積んでいるBL小説を少しずつ消化中です。
感想もゆっくり書いていくかと思います。
どうぞ今年もよろしくお願いいたします!
あらすじ
母親に「鬼の子」だと産むことを拒まれながら貧しい農村に誕生した与六。
その出生から異分子を排除したがる狭く閉ざされた村の中で疎まれ、蔑まれ、その美貌故に慰み者になってきた与六は、死の危険を感じた夜に村を逃げ出す。
慣れない夜道を必死に駆けていた与六は誤って谷底に転落し大怪我を負うが、佐助という大男に助けられる。
村人のように自分を軽蔑せず、親切にしてくれる佐助に戸惑っていた与六だったが、次第に心を開いていき、いつしか初めて優しくしてくれた佐助に特別な感情を抱くようになるが・・・。
丸木さんの作品は小説アンソロジー「エロとじ艶」に載っていた忍びの話が初めて読んだ作品なのですが、私好みの時代物だったので同じ時代物を読んでみようと買った今作。
よく名前を目にする方だけあって文章は違和感なく読めるものでしたし、ストーリーも切ないんだけど、心温まるもので。
あととても読後感が爽快でした。
時代物だけあって方言いっぱい。
主人公与六の方言が萌えポイントでした。
だって、笠井さんの美麗イラストで表現された美人な受の一人称が「わし」なんですよ!
「いやじゃ」とか「守っちゃるけんな」とか、もうギャップ萌えがすごすぎて(*´∀`*)
でも、こんな感じでガッツリ方言なので好き嫌いは分かれるかもしれませんね。
以下ネタバレ含みます。
表紙どおりエロかったです。
何も考えずに読めるエロ特化作品ってことではないけど、結構やっていた気がします。
いや、そうやって何度もできちゃうことが人ならざるものである伏線ではあったんですけどね。
二人とも鬼かなっていう予感はあったので驚きは少なかったのですが、与六の中の鬼が目覚めたあとでも、佐助が与六は人だって言っているのが切なかったです。
どちらも悲しい生い立ちだけど、鬼の力を早々に思い知らされて苦しんできた佐助が与六を守るために優しい嘘をつく姿がもうね・・・。
この二人は本当に二人の世界で生きていくしかないし、生きていけない。
誰にも理解されない鬼同士の愛だけど、本人たちは悲観なんかせず、寧ろそれで幸せだと思っているので、私も温かい気持ちのまま読み終わることができました。
と言うか、その後の二人が流転の生活を謳歌しているみたいだったので、湿っぽい気持ちは吹き飛んでしまいましたね。
あ、あと、実は与六の村の村人を皆殺しにしたのが与六だったっていうのに、少しぞっとしました。
鬼という人ならざる生き物の怖さが伝わってきましたし、冒頭から使われていた童歌の気味悪さはこのためだったのか、と。
童歌って何だか不思議な魅力があると思います。
こんな感じでとても読んで良かった作品でした!!
丸木さんの作品は評判の良かった「mother」も買ってあるので、また楽しみにしたいと思います。