「もう、来ない」目に込めながら笑ったら
君の笑顔が歪んで悲しい



会社の同僚によく「なんで煙草吸ってるの?」と聞かれる。

確かに私の同世代で煙草を吸っているひとは珍しい。「だって吸う必要ないじゃん」と同級生は言う。必要ないと言えば私にも必要ない。だって一日一本以下しか吸わないもの。


それでも私は律儀に吸う。思い出したら、たまたま休憩に行きたくなったら、くらいの頻度を律儀と呼ぶか微妙だが、それでも0本にならないように。



喜んでほしかっただけだ。


気まぐれに吸ってみたらあのひとが嬉しそうな顔をしたから、吸い続けただけた。同僚が期待する物語も、同級生求める必要性もない。


もういないのに。私が今いる場所に来るにはあのひとを手放さなくてはならなかったから。あのひとから切られるのが怖くて怖くて気が狂いそうだったから、無理に離れた。



そしてあのひとはもういないのに私は今日も火を点ける。


話題:たんたか短歌★