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欠片から

何度もあの日を再生している。
すれたレコードより傷だらけの欠片

座標軸のオラトリオ。

やりたいコトはできる。
行きたい場所へは行ける。
なりたいモノにはなれる。

もし、できないなら
それは大してしたい事では無かったんだよ。
現状に縋るのを止めたフりして喚いてるだけの子供みたいな思想。

世界は思ったより狭いし考えたより単純

もっともっと色んな事がしたい。もっと色んな人と出会いたい。
お金を稼ぐのは簡単だったから厭きた。

自分を縛るのは常に自分でしかないのに

行き着く先は§1

【始点】


朝の山手線は最悪だ。
品川の駅で後ろから来る人波に圧されながら毎朝思う。
そんな事を思いながらもう六年も繰り返している。
大学を卒業した後、それなりの企業に入り
毎月ギリギリの線で営業目標を達成し
碌に残業代もつかないのに遅くまでデスクワーク
家に帰って寝る前に読む本と酒だけが楽しみの日々
たまの休みは一日中寝転がってれば月曜が来る。

飽き飽きしながらも六年繰り返せば慣れてくるものだ
あんなに嫌悪した日常も平和に感じる。

成績は並
勤怠は良好

そんな俺が人生を踏み外した日が始まる。

その日は、そう、空が青く高く
風がとても気持ちよかった。

気持ちの良い五月の日

ぼーっとしていたのだろう。
いつも降りるべき駅を何と無く見送ってしまった。
会社には嘘をついてしまおう。
勤怠だけは良好なんだたまには良いさ。
自分に言い聞かせシートに腰を深く落ち着かせた。

スーツの内ポケットに有る音楽プレイヤーからは
ビートルズのイエローサブマリンが聞こえてきた。

そして意識と共に海に向かった。

山手線品川駅から京浜東北線に乗り換えた。
京浜東北線大船駅で湘南新宿ラインで茅ヶ崎へ

茅ヶ崎といえばサザンだろうか
父親が聞いていた記憶が有る。

潮の匂いがする。
それも港区の様な濁った匂いでは無い。
澄んだ潮の匂いだ。
春の海はきらきらしていた。

もう夕暮れに差し迫っている。
今日は何処かの民宿にでも泊まってしまおうか
俺の気持ちの中には帰る気はなくなっていた。

モエ・エ・シャンドン。

ずっと前に買ったシャンパングラス
飲み口にはクレマチス

薄い金色の液体を六分まで注いでみれば
向うに映るは揺らいだ瞳

「こんな時間をきっと幸せって言うんだ」
「どうして?」
「どうして?不思議な事を聞くんだね」

「だって君が居て、俺が居て、美味しいお酒が有ってそれが幸せでないなら何を幸せと
呼ぶの?」

魔法の言葉をあげる。

蒐集家4、嗤う顔

その顔は嗤って、恨み言を言うでもない
ただ、独り呟いてはまたふふふと嗤う。

そして、時々女は話かけてくる。

ねェ、お噺し磨シょウ。
綺麗なおべべが欲しいの、温かいお布団がほしいの
動く身体が欲しい、流れる赤が欲しい。
返せなんて言わないわ。

集めて頂戴。

好きなんでしょう?
蒐集るのが…
好きなんでしょう? 好きなんでしょう?すきなんでしょう?すきなんでしょ

くれてやるくれてやる。
俺の身体をくれてやる。
だかfら破なれてくれ、嫌だもういやだ

身体と離れた表情は嗤っていた。

けたけたと少女は笑い続ける。
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