こんばんは!
相も変わらず、自宅に向かって電車に揺られている私ですm(_ _)m ごきげんよう!
そして、…な、ななななんと!
7月から、こっち、ブログの更新が止まっていたという驚愕の事実を、先日リア友さまに指摘されて気が付きまして……。
本来、サイトの方でアップしようと思っていた今年の
ハロウィン小説を、せめてブログの方でアップしてブログもちゃんと使おうと思って参りました次第にございます。はい。
…と!いうことで!
ちょっと早いですが、ハロウィン小説です!
内容は蘭光で明治〜大正時代を弱冠意識した吸血鬼×人間のパロディものになります。
このお話、もともと書いていたのは、これよりもかなりシリアス度合いが強くて気が遠くなるレベルで長いものなんですが…、ハロウィン企画にあわせて、少しライトに直してサワリだけ上げてみました(`・ω・´)
また、ハロウィン企画ということで、今年のハロウィンを挟んで前後三週間ほど、本日から11月10日まで、お持ち帰りOKとさせていただきます。
短いものではございますが、もしお気に召してくださった方がいらっしゃいましたら、お持ち帰りくださいませ(*・ω<)b*
また、お手数ですが、お持ち帰りいただいた小説をサイト等に掲載いただける際は、どこかに『皇槻翠蓮』、また『永久の花がたみ』と書いておいていただきますよう、お願いいたしますm(_ _)m
ではでは!
追記より、今年のハロウィン小説、『藍色輪舞曲 -Indigo Rondo-』はじまります!
上記、問題ない方はリンクより、どうぞ!
出会えたのは、偶然か…必然だったのか。
月の美しいハロウィンの夜に、私は天使のように典麗な……ひとりの人間を見初めた――――。
(……明智伯爵の嫡男、か…)
舞踏会の熱気にあてられて、夜風にあたりに来たのだろう。その美しすぎる人は、きちっと着込まれたタキシード姿を月光のもとに惜しげもなく晒し、ほんの少しの疲労を吐息に混ぜて静かに佇んでいた。
「……ふぅ…」
「…………」
(……綺麗なひとだな…)
月の光を受けて白く輝く透明度の高い肌、ほんの少しの光をも反射して黒々と輝く長い髪、精巧に作られた人形でも、並べれば見劣りするほどの整った目鼻立ち、そして……。
「……綺麗な月ですね…」
甘く腰に響く魅惑的な美声……。
(どうにかして、近付けないかな…)
人間に擬態している、森侯爵の年若い当主としての自分は、この舞踏会への誘いをパスしてしまっているのだ。
(…受けとけば良かったなぁ……)
今さらながら、そう思う。
……まあ、でも、この舞踏会を主催しているのは、確か…浅井子爵。急に来れることになったから…とか言えば誤魔化せなくもない気がする。
(……ま、どうにかなるでしょう)
そう結論づけると、軽く手を肩に翳し着ていた服をサッと闇色のタキシードへ変えて、音を立てずに木陰へ降り立った。
カサッ…と、近くの茂みが揺れた気がした。
「……?」
(……誰か…いらっしゃるんでしょうか…)
誰もいないだろうと思って、他よりも薄暗い感じのするこの庭へ出てきたのだけれど…、間違いだったのだろうか……。
くるくると辺りを見回していると、大きな木の陰から、見たこともないほどの美しい容姿をした秀麗な少年が現れた。
「素敵な夜ですね…。こんばんは、美しい方」
「っ……」
思わず、息が止まる。
「こんばんは」と、返事を返さなければいけないと思うのに、……声が…出ない…。
にこっと笑って、私に話し掛けてきたその少年が、あまりにも美しくて…透き通る綺麗な声をしていて……。
「ぁ……」
ようやく出せた声は、なんの言葉にもならない音で。けれど、それを気にしたふうもなく、少年はにこにこと愛らしい笑みを浮かべたまま私のすぐ前に立ち、顔の横に出していた私の髪をそのすらっとして美しい指で掬って、……口づけた。
「…綺麗な髪ですね……、貴方の瞳と同じように真っ直ぐで、美しい…。きっと、貴方の心もこの髪のように真っ直ぐで…素直な、美しいものなのでしょうね…」
「…そ、そんな…ことは……」
身に余る賛辞…。けれど、私がその言葉に対して返せたのは、…私が彼に初めて返せた言葉は、…ひどく、つまらないもので……。
いろいろな感情がごちゃごちゃに混ざって、どうにもならなくなり、視線を落とす。
そんな私に、けれど特に気にした様子もなく、彼は私の髪から手を離すと、今度は私の手を取って、白手袋の甲に…そっと、口づけた。
「ちょうど、曲も切れ目。一曲、私と踊っていただけませんか、美しいひと」
「………え…、…あ、あの…っ、私…、男……」
彼の発した衝撃的な発言に、まさか私は女性と間違えられたのかと思って慌てて訂正するべく口を開いたが、彼は相変わらず優しく微笑んでいて…。
「知っています。こんなに美しい女がいるわけがない…」
「いえ…、……えっと…、その……」
どう答えたものか迷う返事を返してきた彼を前にして視線をウロウロさせていると、彼の手に乗せられたままの私の手がグイッと彼の方へ引かれた。
「っあ…」
突然のことにバランスを崩し、彼の胸元に倒れ掛かった私を抱き寄せ、腰にそっと手を回した彼は、やっぱり愛らしく笑っていて。
「さ、踊りましょう」
「……は、はい…」
その美しい笑顔に見蕩れて、ぽうっとしているあいだに、ダンスの誘いを受けてしまっていた。
「良かった。…私は蘭丸、森の蘭丸です。貴方のお名前は?」
「光秀…、明智…光秀、です…」
「光秀……、光り輝き、秀麗な面立ちをしていらっしゃる貴方に相応しい名前ですね。…では、光秀」
「ぁ……、はい…」
手を引かれ、エスコートされるままに、ふたり、踊りだす。
不思議なことに、彼に手を引かれて踊っていると、まったく踊った覚えのない女性パートがすんなりと踊れて…。むしろ、普段踊っている男性パートより、こちらのパートの方が身体に合っているのではないかと錯覚させられる。
(……よっぽど、エスコートが上手なんですね…、蘭丸…)
まるで、自分が童話の妖精かなにかにでもなったかのように、身体が軽く優雅に動く。……正直、気持ちいい。
純粋に楽しんで踊っていると、目の前にある綺麗な顔が、くすっと笑った。
「……蘭丸?」
「いえ…、可愛いなと思って…。光秀は、そうやって笑っている顔が一番美しいですね」
「え……、…あ」
蘭丸に指摘されて初めて、自分が自然と笑っていたことに気付いた。
何年ぶりだろう。笑おうと思って笑っていない笑顔を浮かべたのは。
「……ありがとうございます、蘭丸」
目の前の美しいひとが、いきなり口にした礼に、目をぱちぱちと瞬く。……でも、そんな彼も心底可愛らしい。
月の光を面に受けて、ほんの少しだけ上向かせた顔で私を見た光秀の顔は、本当に美しくて……。
にこっと笑みを浮かべて、その綺麗なひとを見つめた。
「どういたしまして、光秀」
そう返すと、光秀は、花が咲くように美しく愛らしい笑みで私を見て。「はい」と応えた。
こうして、私と彼との関係は始まった。
これから綴られる、私たちの物語は……まだ、秘密――――。