「サイケ、何かついてる」
気付いた時にはもう、彼の顔が間近にあって。
そっと頭に伸ばされる手のひらの温度がまるで壊れものに触るように優しくて。
高鳴る胸が聞こえちゃいませんようになんて思って。
「葉っぱだ」
さっき日々也のところに行ったときについたのかな、なんて。
津軽が何でもないようにやってのけるから、俺だけがこんなにドキドキしてるのはなんかおかしいのかな。
ああでも仕方ないよだって津軽はかっこいいし優しいし歌がうまいし性格だって完璧!
俺がドキドキしちゃうのは自然の摂理だ。
だいたい、津軽のオリジナルが静雄さんで、俺のオリジナルが臨也くんで。
臨也くんは静雄さんのことが大大大好き。そんな臨也くんにそっくりすぎる俺が、津軽のことを大大大好きになってしまうのは仕方ない。
「サイケ、危ないよ」
もんもんと考え込んでたら、津軽の低くて心地いい声が耳元で聞こえた。
と、思ったらふわっと抱きしめられるように腕を引かれる。
ハッと我に帰ると目の前に電柱があった。危ない。
「何考えてたの、サイケ」
腕の中から見上げた津軽は全く動じてない。
でもねえどうしよう俺の体感温度どんどん上がってる!
え、とか、あの、とか。もう何言ってんのか自分でも分かんない。
これ以上ドキドキして体温上がったらショート起こしちゃう。
「な、でもない。もう平気、ね、離して」
「・・・だめ」
俺のなけなしの抵抗はあっさりと断られた。
「今サイケ、一人で歩かせると危なっかしい」
「や、・・・あ、でも早く帰らない、と。臨也くんたち、が」
心配しちゃうよ。
まあこんな状態で帰った方がよっぽど心配されるだろうけど。(臨也くんはちょっと過保護だと思う)
そんなことより津軽の声が!息遣いが!!
ダメだこの格好すごく近い!!恥ずかしい!!
もういっそのこと電源落としちゃいたい。
そしたら津軽に触られてても恥ずかしくないのに。
「・・・じゃあ、こうして帰ろう。ね」
「え・・・っ」
温かな温度が身体から離れてちょっとさみしいとか思いながら(俺ってなんてゲンキンなの!)。
次の瞬間に右手に感じる温度に驚く。
わ、あ。あの、これ、って。
手をつなぐ、という、あれだよね。
津軽、手が大きいから、俺の手がすっぽり収まっちゃう。
そんなとこにもときめきながら、でも家に帰るまでこのままなんだということを思い出したら、引くはずの体温は治まらなかった。
君が触れたところだけ嘘みたいに熱いよ
(静雄、ただいま)(おう、おかえ・・・ってサイケどうした?熱でもあるのか?)
(うわ、サイケ顔真っ赤)(・・・臨也くんのばかっ!)(なにそれひどい)
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うちのサイケたんは津軽が大好きで大好きでたまらないのです。
というか、シズちゃんとその派生が愛されているのが私が好きなだけなのです。
title by.確かに恋だった