話題:二次創作小説
!腐向け
!らいとうぃんぐ
!注文の多い料理店と沈まぬ太陽のおはなし
!捏造しまくり
「及川さん、どうぞ」
なぜ。
手渡された今川焼を見ながら、及川はこの状況を理解するべく脳をフル回転させる。
えぇと。
今日は雪が降ったから、吏人君が練習を早々に切り上げて。
帰り道でなぜか藤原さんと出会って。
で、なんで。
公園で、藤原さんと今川焼?
「食べないんですか?」
ひょいと覗き込まれ、心臓が跳ねる。
鳴路の目は、吏人と同じで透き通っていて見透かされそうだから。
及川さん?ともう一度声をかけられて、及川はようやく、手にした今川焼の包みをめくった。
「………あの、」
「はい」
「藤原…さんは、甘いものが、お好きなんですか?」
「そうですね。好きです。…及川さんは、嫌いでしたか?」
シュンとした横顔が、なんだか子犬を彷彿とさせる。
居たたまれない及川は、そんなことないと首を横に降って、まだ温かい今川焼にかぶりついた。
ほんわりと口に広がる小豆と、しっとりとした生地がおいしい。
「っ、おいしいですね!」
パッと笑顔で鳴路を見ると、鳴路もまた、笑顔を浮かべながら、はいと返事を返す。
どきん。
先ほど顔を覗き込まれたときとは違う感覚で、心臓が跳ねた。
あれ。
なんだろう、これは。
こんな寒空の下にいるから、風邪でもひいたのかな。
ああ、でも藤原さんは、元気みたい、だし。
「…及川さん」
「えっ、は、はいっ!?」
「次は、カスタード味なんてどうでしょう」
「……へ」
「それと、藤原さんではなく、メイジと呼んでください」
「……あの、」
「ね、及川さん」
にっこり。
藤原さん、笑うと子どもみたいだ。
なんて場違いなことを思いつつ、及川は赤くなる頬を見られないように、手に残った最後一口の今川焼に、ぱくりとかぶりついた。
注文の多い料理店
(及川さん、あんこついてますよ)
(ひぇっ、ふ、藤原さん…!?)
(違います、メイジです)
(めっ、鳴路さん!!)
(はい)
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なりみちかわいいよなりみち
吏人と及川もいいけど、天然メイジに振り回される及川もおいしいと思った。
甘いものが好きだといいなぁ、メイジは。