エヌ氏と2回目に会った時の話。


前回会ってからもラインの長文は変わりなく、それに加えてなぜかひょんなことから、絵しりとりをすることに。
今の時代には珍しいアナログ遊びを、ライン上で写メで載せ合うという、まさにアナログとデジタルの融合


多くて2回返信のペースで、毎日続くライン。

でも自分でも怖いくらいに、ふと我に返って「面倒くさいな」と冷める時もあったり、逆に通知がきたら今すぐにでも読みたい衝動を抑えて、早くても30分は待ってから既読にしたり、既読してるのに平気で何時間も放置するという駆け引きみたいなこともしたりと、気持ちの浮き沈みが激しい日々を過ごす。


そんな中、話題は少し変化をみせ、エヌ氏が好きなタイプを聞いてきた!
これの意図するところは?

▽単なる話題提供
▽私に気がある

恋愛偏差値低いから、すぐ都合のいい乙女漫画的展開を想像してしまう。
そしてこの後、私の乙女漫画的展開脳を加速させるような発言が!


行動力がある、面白い、などなかなかに高い理想を挙げたところ、エヌ氏から「元彼とかそんな感じだったとか?」

…これあれちゃいます?
自分でいうのもナンだけど、結構気になってる感じとちゃいますのん?

自意識過剰とでも何とでも言ってくれて構わない、このグイ感、あるぞ。と、勝手に思っている私。

でもここではさらりとかわして、恋愛経験のなさを気づかれてはいけない。と、勝手に思っている私。

動揺を隠すように、でもちょっと試すように。


不思議なもので、いや、単純なもので、耐性のない私はなんとなく好意を向けられたとわかったら(本当のところはどうか知らないけど)、ちょっとその人のこと気になっちゃって、あれ?私この人のこと好き…なのか?って傾いてしまう。


チョロい。

あれだけ顔がどーのこーの言っておいて。

実にチョロい。


でもね、ひとつだけ言っておくと、1回目会った時から、この2回目まで、約1ヶ月期間が空いたわけ。

正直、顔、思い出せなかったよね。
上半分しか。



そんなこんなで、期待は膨らむばかり、エヌ氏のリクエストで水族館へ行くことに。

予定の水族館の場所を調べると、待ち合わせの駅からは電車だと約50分かかることがわかった。

50分も電車に揺られていくのか、正直ツライなと思ったけど、エヌ氏は車を持っているから、もしかして駅から車で、、、?
調べると車だと10分弱。

これはあるかもしれない。


もし車だったら、どんな車種だろうか。
軽じゃなければなんでもいいや。詳しくないし
わー助手席に乗るのかー久々だ。
音楽どんなんかけるんだろう?おすすめした曲とか流れてきたら、どうしよう

と、今まで読んできた少女漫画やドラマを参考に、妄想に花を咲かせるも、


待ち合わせ場所に着いて早速「どうやって行きます?」と聞くと

「電車かな」


あ、そうっすよね。
車だったら言うよね、うん、あなたは悪くないです


そこで少し気分が下がり、すぐさま想像する50分の密室トレインロード。

あなたは何も、悪くない。


しかし聞いていくと、この水族館へのアクセスの仕方を下調べしていなかった模様。
むしろ私がネットですぐ調べて伝えたくらい。

これはちょっと株落ちますね。
出かけ先への行き方くらい、きちんと調べてエスコートして欲しかったな。
自分リクエストなんだし。


そんなモヤモヤを初っ端から抱え、電車へ乗り込む。
席は空いてて、2人席に。

これが思ったより隣との距離が近くて、更にエヌ氏が足広げるもんだから時々当たって心の中でアタフタする恋愛初心者。

苦痛と想像していた車内だけど、ほぼ沈黙もなく会話は弾み、気分も徐々に回復していく。


着いた駅から水族館へは徒歩10分程。
その水族館はなかなかの年季が入ってるけど、年々入館者数が増えている、知る人ぞ知る人気スポットらしい。


実はこの水族館っていうデートスポット、去年のちょうど今くらいに、上司の紹介で会った人とも行ったことがあったから、変にそれを思い出していて。

魚や珍生物への感想を言い合って、笑って、「見て見て!」なんてやり取りに既視感しかなく、当時もこの瞬間は楽しかったな、このまま…なんて夢見てたな、あぁ、1年前と変わらないな、と遠くを見つめるゼリーフィッシュ。


じっくりひとつひとつの水槽の中を見ては呟き、壁の水族館スタッフによる独特なセンスの紹介文を読み、誰もが水族館に行ったらこうなるだろう、そんな平均的な楽しさを感じながら、半分ほど回ったところで、まさかの閉館時間まで10分に迫る。

慌てて残りをさーっと見て、1番エヌ氏が楽しみにしていたという深海魚コーナーを見ている時、それは急にきた。※乙女漫画的展開脳は抹消せよ


深海魚コーナーは、小さな正方形角のボックス水槽が2段ずつ横に8程並んでいて、それが壁に埋め込まれたようになっている。

下の段の水槽を見るためには、しゃがまなければならなくて、一緒にしゃがんで指差して笑って、ひと足先に立ち上がった時だった。

目立つ白と、のぞく地肌。


最低だなって自覚したし、そんな自分の醜さに辟易したけど、引いてしまったのも事実。
戻すことはできない。


そこからは信じられないくらい感情がペーペーのスースーになり、なんかどうでもいいなってだいたひかる状態で水族館を後にしました。



しかしこれでも24年生きてきた、露骨に失礼な態度をしてはいけない、相手を傷つけてはいけない、ましてや彼は今のところ何も悪いことをしていないのだから。
そう言い聞かせて、切り替えて、帰宅の電車へ。


行きと同じく2人席に座るも、黙りが続く。
これはさっきの衝撃もそうだけど、なんだかんだ気を張っていたからその疲れの反動でもあった。

エヌ氏は行きと違って無口な私に、きっと疑問や不安を抱いてるだろう、でもごめんなさい、自分から話題振る程の力が、今はもうないのですよ…


沈黙に耐えきれなくなったのか、いくつか話題を振ってくれる優しい彼。

あぁ、気をつかわせてるな、ごめんなさい、そんな気持ちはまだ持てる人間だったので、話しかけられたら笑顔で答える。
でもこの時点ではもう、自然な対応ではなく、努力をしてた。


元々この日は水族館に行こうという予定のみだったから、このまま帰宅コースなのか、はたまた夜ご飯コースなのか、駅に到着しようとする中の分岐点、エヌ氏からの「お腹空いてる?」

空いてます、でもひとり飯を思い浮かべてました。

なんて言えるはずもなく、だいたひかる状態で応じる。


でもまだ人間の情を持っていたから、せめて別れる時までは通常運転、エヌ氏には不快な思いをさせないようにしようと、彼のリクエストのハンバーグのために、知っている店へ案内した。

ハンバーグは美味しかったし、エヌ氏も好物を食べられてとても満足そうだった。
でもなんとなく罪ほろぼしのような感じがして、早くここから逃げ出したい、ひとりになりたい、という思いから会話は疎かに。

というか、食べながら会話って難しい。
食が進めない、話すタイミング、答えるタイミング。


前回は横並びで食べたけど、今回は向き合っての席だったから、ハンバーグがくるまでと、食べ終えて机が片付いた時の沈黙の間の目のやり場とか、手持ち無沙汰感がどうにも苦手で、ますます帰りたいに拍車がかかる。

察してくれたのか、「出る?」の一言にこれ程救われたことはない。

会計は例に漏れず、払おうとしてくれたけど、ちゃんと返す。


電車の線が違うから、伸びる階段の下で解散に。

この期に及んで自意識過剰なのはわかってる、でも次の約束を仄めかされたら応えられないと思って、手早くお礼を言い、お辞儀をして、颯爽とホームへ伸びる階段に向かった。

お辞儀をして顔を上げた時に一瞬見えたエヌ氏の顔は、まだ何か言いたげだったから、振り切ってきて正解だったと思う自分に、私ってこんなに嫌な奴だった?と省みる。

だけど心は正直で、すーっと軽くなりました。



別れて30分後に、お礼と「ヒマな時にまた遊ぼう」という本心なのか、サービスなのかわからない、しかし最早気にすることもないメッセージが届いた。


あの瞬間からはっきりと「ない」と判断してしまったから、この人とはこれまでにしてフェードアウトするのもアリと思ったけど、何度もいう、彼はひとつも悪くない。

だから友達、という関係性も違うけれど、このまま2回会った人として、ラインの頻度は徐々に減らしていきつつも、自然な流れでお別れできるようにと、しばらくは続けようと思う。


エヌ氏がもっと嫌な奴だったら、すぐに切ったのに、なまじいい人だから、罪悪感。

自意識過剰に、エヌ氏が私に気があるかもと思ったことはもう遠い昔。
むしろ可愛くもない、女の子っぽくもない、セールスポイント皆無の私に引いた可能性のが高いから、おあいこなんだろうって思って、気を楽にさせておく。




そういうわけで、出会い系アプリ1戦目は幕を閉じたのであった。




追記に拍手レスです