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・私の彼は廉価版

・二度とはないから、三度目も。

・だとしたら、それはとても幸せな。

だけど、だって、だから。:『狐狸の宮』

男の子は嫌い。
だって、かたくて怖くて、可愛くないから。
でも、乙女ゲームは好き。
二次元最高。
あそこには夢が詰まってる。

女の子が好き。
だって、良い香りがするし、柔らかくて優しくて、可愛らしいから。
でも、誰でも良い訳じゃない。
二次元なんかじゃ満足出来ない。
ほんの少しの辛味が欲しい。

甘いよりは辛い方が好き。
だけど、それは簡単に切り捨てられる。

甘いのが良い。
甘い物が。
だって、あの子は甘い物が好きなんだ。

だから。
ほんのちょっぴり辛い、甘くて柔らかくて良い香りのするあの子に、真綿のように優しく包まれたなら。
きっと、それだけで幸せになれる。

たったそれだけを、ずっと夢見てるの。


(――そう、夢見てたのに。)

((プールにどぼん。))

「溺れるような恋がしたいのであって、溺れさせられるような恋は遠慮して欲しいんだけど」

「……驚いた、君って僕のこと好きだったの?」

「ちげーよ。妙に意味深な事ばっかり言うのを止めろ、っつってんの。あんたのせいでこんな目に遭ったんだから」

「うーん、覚えがないんだけどなぁ……」

「殴って良い?」

「お嫁に貰ってくれるなら」

「お前男だろーが死ね」

「まぁまぁ。ほら、早く着替えておいで。風邪引いちゃうよ」

「お前のせいでな!」



(集団女子による呼び出しからの、プールにどぼん。結構本気で殴りたい。)

『ようじょの見た夢』

夢を見た。
笑っている夢。
幸せそうに、笑っている。
優しい表情のお父さんとお母さんが、宝物のように私の名前を呼ぶ、そんな夢。
夢の中の私も幸せそうに笑っていて。
それを見ている私は、ずっと、やめて、って言い続けてた。

* * *

目が、覚める。
慌てて起き上がり周りを見回す。
いつもと変わらない、小さくて殺風景な自分の部屋。
布団から起き上がり、汗で気持ち悪い服をすぐに着替えて廊下へ出ると、お母さんとばったりあった。

「……」

無言で、蔑んだように私を見るその目に、心の底から安堵する。
良かった。
夢だった。
あれは、現実じゃなくて、夢、だった。

(高い所から落ちるのは怖いけれど、低い地面に這いつくばっていれば。落下の恐怖は、ないのです。)
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