stand up my soul

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無理なものは無理なんだ・・・

昨日のことでした。
私がこの世で最も嫌いなあいつが現れたのは。

ぽつぽつと雨が降り始めた夕方。
女性特有の日で寝込んでいた私の元に「うわー！」という弟の叫び声。
何事かと思えば、我が家の玄関(外)にヤツがいるとのこと。
普段何とも思わない弟ですら慄く程の巨大なヤツとの報告。

すぐさま総員（といっても私と弟の２人だけど）戦闘態勢につけ！と私の命により
弟は武器を片手に玄関に。
私も確実に弟が奴を仕留めるのを確認せねば安心できないので恐るおそる玄関へ・・・。

そしてそこには・・・・・・・いた。
歴代最大と言っても過言ではない、超巨大な胴体に太い八本の脚、遠目から見ても分かるそのデカさたるや・・・・。
さらにその胴体には・・・・・卵と思われるものを持っているではないか。

一瞬の沈黙。そして・・・

ぎゃあああああああああ！！！！！
ありえないありえないありえない！！！！
なんなのこいつ！！！ちょっと待ってデカすぎるだろ！！！は？なにこれ？！
卵持ってるとか最悪じゃん！！は？！
ちょっと○○（弟の名前）早く何とかして！！！
確実に仕留めて！！！逃がしたりしたら許さんからな！！！

↑実際にはもう少し酷い言葉遣いだったと思われるが概ねこんな感じで叫び、
すぐさま10ｍ程離れた場所に避難。

玄関の扉のすぐ近くの壁にいるとか・・・あ、ありえない。
あんなのが家の中に入って、さらに産卵とかされたらと想像するだけで身震いが。

近寄ることすらできない私に代わり、弟に駆除を頼んだ。
あまりにも上にいるため容易に叩けないので殺虫剤をこれでもかと噴射。
（この時私は悔やんだ。なぜ先週ヤツ専用の殺虫剤を買わなかったのか、と）。

大きいためかすぐには効かず、再び殺虫剤を噴射。
２度の噴射によりようやく聞いてきたのか壁を這いずりながら徐々に降りてくる姿はそこらのホラー映画よりも怖い。

ほら早く！！早く仕留めて！！！
壁汚れてもいいから早く！！！

私は叫んだ。
しかしここで弟が信じがたいミスを犯した。

弱っているとはいえまだ動いている奴を、一旦地面に落としてから叩くとの作戦に勝手に変えた挙句、
奴を見失ったという・・・・。


・・・・・・・・・はあああああ！？！？！？！
何してくれてんの！！！！確実に仕留めろって言ったよね！！！
探せ！！！何としても探して仕留めてその死骸を確認させろ！！！！
じゃないと許さん！！！絶対に許さない！！！
さっさと探せ！！！

あまりの出来事にパニックになった私は叫び散らしていた。

大罪である。
私にとって奴を見逃すこと、すなわち犯罪者を野放しにすることと同義なのだ。
そんな大げさな、と人は言うだろう。
しかしそれくらい私にとって奴・・・クモはこの世で最も嫌いな生き物なのだ。

あんなデカいのが生き延びて万が一にも部屋の中に入ってきたらと思うと焦らずにはいられなかった。
確実に天に召されたのを確認しなくては私は安心できないのだ。
雨が降りしきる中、逃げたと思われる草むらを弟に鎌で刈らせながら私は叫んでいた。
『何があっても見つけ出せ！じゃないと許さん！』
（今思うと、弟には酷なことをさせたと思う。反省。）


結局、ヤツは見つからなかった。
あああああ・・・・これでしばらく私は玄関には近づかない。いや、近づけない。
もしも玄関を開けた途端に奴と鉢合わせでもしたら気絶する。
あのデカさはヤバい。
いくら人に害を与えないとはいえ無理なものは無理なんだ。
Gを食べてくれる？いやいやそんなの私にとっては関係ないんだ。
こればっかりは無理。