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あそビモさんのセレスアルカのプレイ記とか漫画とか小説とか。ウルフサーバーでちまちまやってる素人が書いたりしています。
村の中央広場の前にあたる場所に店? いや、工房、っていうのか?
そんなもんを構えているのが鍛冶屋のアントンだと言う。
「騎士団のひよっこか。【コア】を作りに来たんだな?」
あぁ、そうだ。そう隊長に言われたから、間違いなく、オレはアントンのおやっさんとか言う人にお金を巻き上げ……訂正、支払って【コア】を作ってもらいにきた。
きた、んだけど……。
「俺はアントン。見ての通り鍛冶屋だ。おまえさんみたいな若造に、あれこれ親切に教えてやるほど暇じゃないんだが……。まあ、これも仕事のうちか」
なんだろう、このどこかで見覚えのあるようなフォルム……。
いや、今まで会ったこともないんだけど、どうも見覚えがあるような……。
「あ? なんだ、坊主。何か言いたいことでもあるのか?」
「あるというか……、ないと言うか……」
「はぁ?」
あ、わかった!
そのゴーグルとか丸っこい体型とかが、昔見た絵本の宇宙人に似てるんだ!
『宇宙人ベートンとゆかいな仲間たち』のベートンだな! あー、スッキリしたー。
わかると、妙にベートンに見えてきて仕方ないけどな、ここは笑ってはいけないってことくらいわかってる。その服が、だんだん宇宙服に見えてきたりとか、そんなことナイデスヨ?
「おいこら、言いたいことがあるのならハッキリ言いやがれ」
「いやいやいやいやいや! ナンデモナイデス!」
怪訝そうな顔をしたアントンに、それよりも、と【コア】の説明をせっついてみた。
我が身可愛いからな、話のすり替えは大事だと思うんだよオレ。
やれやれ、と仕方なさそうに大きく息をついたアントンは、ゆっくり語りだした。
「コアっていうのは、一口にいえば、自然に存在する純粋な力の結晶だ。引き出す者の能力にあわせて、いろいろな作用を生むことができる」
「万能石、みたいなモンって解釈でいいのか?」
「そんなもんだ。コア鉱石を精錬して、純度を高めていけばいくほど威力は上がるが、制御も難しくなる。こいつをもっと効率よく扱うために作り出されてのが【スキルコア】だ」
「【スキルコア】……」
扱いは【マシーナ】の産物と同じ……ってわけではないんだろうな。一応、作り出されているってことだし。
うーん……と難しい顔しているオレに苦笑しながら、アントンは続けた。
「と、一度にあれこれ言っても飲み込みきれんだろう。とりあえず、コアがあれば、戦闘中に特殊な技を使うことや身体能力を伸ばすことができる、そう覚えておけ」
「うっす」
「お前さん、【スキルコア】を作るのは初めてだろ? 今回は特別に、タダで作ってやる」
「マヂでか!? この村は神で満ち溢れているのか!?」
「はぁ?」
やべぇ、その優しさに涙が出てきそうだ。
無料とか、なんだよ、オレのお財布に優しすぎるだろこの村は……!
「お、おいっ、大丈夫か?」
「だい、じょぶです……! ちょっと、優しさが目に沁みて……」
「あぁ、ったく! ほら、鼻くらいかめ。みっともねぇ」
うぅっ、面目ないです。
それじゃ、遠慮なく……なんてことはしないけれどさ。ハンカチ借りたら、拭くのは涙だけって決めてるけどさっ!
ぐずぐずする鼻をすすりながら、アントン……さんが手渡してくれるスキルツリーの表を覗き見る。
レベルに達していないとか、不適応職だと見えなくなる部分もあるらしい。これもマシーナの遺物なのかは教えてくれなかったけど。
「ほら、次の仕事もあるんだ。さっさと決めちまえ」
「ふぁい」
どれどれ、今できるのはどれだ?
【ヒート・ラピル】
材料は甲獣のトゲ一個。あぁ、そっか、さっきのか!
つか、選ぶもなにも、今できるのはこれ一択なわけね。いや、いいけど。
もっとこう、選ぶときのワクワクとかそんなもん期待したりとか、さ。
「んじゃ、この【ヒート・ラピル】とか言うの」
「あぁ、ちょっと鼻かんで待ってろ」
「へーい」
頼むとさっさと作ってくれた。本当に、あっという間。
鼻云々のくだりはものすごくスルーして欲しかったけどな。
「これが、スキルコアですか……?」
「あぁ、なかなかのもんだろ」
手の中にすっぽりと入るくらいの大きさの丸い球体。夜空に輝く星を込めたように、静かに瞬いている中の光は、脈動しているかのように見えるのはなんでだろ。
まじまじと見つめていると、アントンさんが再び口を開いた。
「いま作ったコアは、戦闘中に【スキル】として使用できる能力を持つスキルコアだ。こいつに封じ込まれた技を使えるのは、武器に装着した時だけだ」
つまり、戦闘スキルを持ったコアは武器に装着していくといいってことだな。
そう続けた口ぶりは、まさしく説明慣れしているようなそれで、簡単に言い直してもらえると、オレでも分かる。
「俺に【コア装着】を注文して、武器へのコア装着を選びな。すぐに取り付けてやるぞ」
「ありがとうございますっ! じゃ、さっそくコレお願いしますっ!」
「……こっちは、手間賃をもらうぞ」
「ええええぇっ!? そんなぁ……!」
「こっちも商売だからな。なにもかもタダってわけにはいかねえよ」
くっ、さっきいい人だと思ったのは撤回だ撤回。やっぱこの人はオレからお金を巻き上げようとしている人に違いない。
いいからさっさと出しやがれ、と泣く泣く100Zを支払い、出来たてのスキルコアを装着してもらった。さよなら、オレの100Z……。
「ほれ、いつまでも嘆いているんじゃねぇ」
「ふぇーい」
ぽん、と渡されたのは、さっきまで手元にあった量産型のブロンズソード。変わったとこって言ったら、柄のくぼみに、一つ、さっきのスキルコアの球体が埋め込まれているってところか?
ヒート・ラピルの説明文を読んだけど……よくわかんねぇや。
『訓練生用のスキルコア。小さな炎を放つ』
これだけ。剣先から炎でもでるのか? 想像したら、なんか大道芸っぽくてなんか萎えた。
「いつまでもぐじぐじしてねぇで、さっさと報告行って来い!」
「そうします……。装着ありがとう、さようなら100Zー…」
「最後のそれは余計だろうが」
まぁいっか。隊長に見せに行こうか。
性 別 | 女性 |
誕生日 | 12月21日 |
血液型 | B型 |