「奇襲、てのはこっちの動きが知られてないからこそ成立する訳で、知られちゃったらそれはもう奇襲じゃない」
「ならば佐助、片倉殿は何故あのような場で軍議を?政宗殿の視線によりずっと発言を控えておったがあの場に間者がいたことは明白、向こうに筒抜けでござる」
「あぁもう、そこまで分かっててなんで気づかないかなぁ旦那は」
「なっ、」
「奇襲じゃない、って言ったでしょう?まぁこんな使い方するにしちゃあ立派すぎる作戦だからもったいないけど、」
「そうだな、気づかれてる奇襲なんざ奇襲でもなんでもねぇ。そんなもんは只の陽動だ」
「なっ、おとりと申されるか?」
「…ちょっと竜の旦那ぁ、なんで一番いいとこ持っていくのさー」
「Ah?てめーが言うな。一番いいとこ取りしてんのてめーだろ。サルのくせに小十郎に媚び売りやがって…ちゃっかり気に入られてんじゃねーよ」
「言いがかりはよしてよ竜の旦那ぁ。俺様右目の旦那に媚びなんか売ってないって。愛想は振りまいたけどね」
「シャラップ!それが確信犯だっつってんだよ!」
「政宗殿、いいとこ取りとは何のことでござるか?某には先程から話が分からぬ」
「……おい、サル。甲斐の虎和子がこの調子でいいのかよ」
「……言わないでよ。武士には情けがあるんでしょう?」
「佐助、お前も分かっておるのなら申せ」
「はいはい。あのさぁ旦那、さっき奇襲じゃないって聞いたときどう思った?」
「うむ…片倉殿に本来の策と別働隊の動きを聞きにいかねば、と」
「そうだね。でも俺も竜の旦那もそんな話を聞いていない。ずっと旦那と一緒にいた」
「おお!そうであったな!ならばこれから皆で…」
「あんた、ちょっとは頭回せよ。COOLじゃないぜ?」
「なぬ!?」
「ちょっと、旦那が混乱するから横から入ってこないでよ!」
「…all right」
「奇襲っていうのは相手の想定外の攻め方で指揮系統を分断して兵が混乱してるところを叩くためにするものでしょう?もしその想定外の攻め方が想定内になって、しかも必ずそのやり方で攻めてくるって分かったら旦那はどうする?」
「うむ、直ちに軍議を開き迎え撃つ準備をする。奇襲とは綿密に計算された策、それ故計算外の動きをする兵もおらぬ」
「そこだよ。向こうは今頃こっちが攻め入る箇所を徹底的に塞いでる。…ってことは兵の配置がいつもと違うってことだよ。さっきの軍議でたった一度だけ右目の旦那が地図の上叩いてたよね?」
「成る程!そこから攻め入るのであるのだな!…しかし誰が?もう全ての兵の割り振りは終えて……単騎!まさか佐助、片倉殿はお一人で!?」
「あのねぇ、旦那。右目の旦那が竜の旦那の後ろを離れる訳ないでしょう?さっきの話思い出してよ」
「………お前、か?」
「そーゆーこと。やっとお分かり?」
「うぉぉぉぉぉぉ!羨ましいぞ佐助ぇぇぇぇぇぇ!片倉殿からそのような重大な任を与えられるなど某には想像も出来ぬ!」
「Ah、気がつきもしないあんたにゃ無理だな。まぁいい、サルの為の陽動なんざ反吐が出るが小十郎の考えだ、派手なpartyといこうぜ」
「ちょっと!さり気なく酷いこと言い過ぎだって!」
片倉さんに認められたいのはcookieです。
本当はちゃんとお話にしたかったんですがちょっと難しそうだったので台詞だけです。