生まれた時からヲタオヤジ


2012年8月11日(Sat) 14時21分

「原爆」と「原発」について俺の考え


「原爆」と「原発」を同じ土俵で語るべきではない

なぜなら、
「兵器」と「エネルギー問題」というベクトルが違う話題だからだ。
俺も原爆=核兵器のような無差別大量殺戮兵器は根絶されるべきだと思う。
しかし、
同じ核分裂反応を利用した原発については、理念は平和利用であるからだ。


福島第一原発事故以来、世論は大きく脱(反)原発に傾いた。
点検に入り停止した原発の再稼動も基本は認められない構えだ。

俺は(今の核分裂)原発を完全否定はしない。
だからといって推進もしない。
容認するといったところだ。
日本の電力事情からすれば今の段階では必要だと思っている。


俺の最終学歴はプロフィールにもあるよう工業高校 電気科卒だ。
電気科では「発電」「送電」「配電」が主な専門授業内容だった。
ただ、当時は原子力安全神話の元の内容だった事は今思い返して否めない部分ではあるが、日本の電力事情を少しは理解しているつもりだ。

今、関西を除いて原発が稼動していなくても火力発電メインで電力は確かに供給されている。
しかし、だからと言ってそのままでいいのか?

火力発電は天然ガスや石油などの化石燃料を使う。
化石燃料の枯渇問題は俺が子供の頃から言われている問題だ。
即時原発「0」派は高濃度放射性廃棄物問題を指して言う

「今さえ良ければ、後の世代に迷惑をかけてもいいのか?」と

これは、原発0で火力メインで進んで化石燃料を枯渇させれば、同じ事が言えるんじゃないか?
こう書けばおそらく

「太陽光、風力などの次世代エネルギーがあるじゃないか!?」

と問われるだろう。
次世代エネルギーによる電力供給は今まで以上に研究してほしいところだが現状ではハッキリ言って不安定すぎる。

太陽光や風力は当然天候に左右される。
電力供給は日本の場合特に安定供給が求められている。
誰だったかな、

「人は進んでしまったら簡単に後戻りはできない生き物です。だから原子力も上手く付き合っていく方法を探さなくてはいけないと思います」

と言った名言がある。


色々と節電を行って努力はしているがやっぱり電力に暮らしは支えられている事実に何ら変わりはない。
原発0で火力もセーブして次世代発電メインになったとしよう。
そうなると、インドなど発展途上国でよくあるいきなり長時間の停電が日常茶飯事になるだろう。

俺の目には今の日本人がそれに耐えられるような気がしない。
口先では原発0と言っておきながら電車のダイヤの乱れは1分たりとも許さない
現段階での原発0を口にするなら、

・頻繁な停電が発生しても文句を言わない
・電車のダイヤも1〜2時間遅れは許容範囲

とするような心構えが必要だと思う。
そして供給量が予測できないという事は今のような需要と供給量から必要最小限で行う計画停電は実行不可だ。(かなり余裕をみて大規模エリア単位で必ず予定通り行う計画停電なら可能だと思う)


次世代エネルギーでは日本近海に多く存在が確認されていて大きく期待されている
『メタンハイドレート』
これも深海にある為簡単に採掘できず採掘技術が確立されるまであと数十年はかかるだろう。


次世代といえば俺も期待はしているのが『核融合炉』
これについても誤解をしている人間が2タイプ居ると思う。

ひとつめは、
「核」の一文字で今の原子炉(核分裂反応を利用)と混同している

ふたつめ
「太陽が燃える原理と同じだから」と安心しきっている

研究と実用化が急がれている「核融合炉」は読んで字の如く核融合反応を利用して発電する。
核融合反応とは、軽い元素物質同士の原子核が超高温・超高密で融合して別な元素になる現象だ。

・軽い元素というのは理科の授業で語呂合わせで覚えた
「水兵リベ僕の船・・・」
で先に出てくるほどより軽いということになる

・原子は物質の最小単位とされるもので原子と付くからといってそれだけで放射性物質ではない。

俺達が毎日拝む太陽などの恒星はヘリウムが「熱核融合」を起こして燃えている。
ところが、「熱核融合」を地球上で起こすのはとても難しい。
そこで、燃料に高出力レーザーを照射して高温・高密に圧縮する「レーザー核融合」が実験され成果をあげている。
今実験されている核融合炉での燃料は「三重水素(トリチウム)」だ。
この三重水素は地球上に豊富にある「水」から抽出できるので無尽蔵にあるし放射性物質(半減期12年)ではあるが抽出は炉で行われるので安全とされている。
これにより核融合炉やその建屋は被爆するし、今の核分裂炉に比べると極微量ながら放射性廃棄物(燃えカスの灰)も出る。
このことから今に比べると格段に安全だけれども放射能と全く無縁という訳ではない。


じゃあ今の原子力発電はどうか?
一口に原子炉といっても「軽水炉」「重水炉」「高速増殖炉」様々あるがいずれも「核分裂反応」を利用している事に変わりは無い。

原子核分裂は「重い元素で不安定な物質」の原子核に中性子をぶつけると原子核が分裂してそこからも中性子が飛び出す。
飛び出した中性子が近くの原子核にぶつかり分裂・・・と連鎖していく反応だ。
雑に言うと「おはじき」みたいなものだ。
この燃料となる重い元素で不安定な物質こそ放射性物質の「ウラン」や「プルトニウム」だ。


今の核分裂炉と将来の核融合炉の最大の違いは何か?
それは反応を停止できる速度にある。

今の核分裂炉はニュースで聞いた事があると思う「制御棒」で反応を制御している。
制御棒には中性子を集める働きがあり、飛び回る中性子を抑制する。
ただ、一度核分裂反応が起きると制御棒でも即時に反応を停止することができないのが実情だ。
未臨界といって時間とともに反応は下がっていくがその間も熱は発しつづけるので、冷やし続けないといけない。
冷やすことができないと発生した熱で燃料が溶るだけでなく炉の壁まで溶かし(炉心融解=メルトダウン)外に漏れ付近を汚染する。

これに対して次世代のレーザー核融合炉ではレーザーの照射を止めるだけで即時に反応は停止して冷やし続ける必要がない。
これも有事の際に今より安全とされる部分だ。

ただ、レーザー核融合の今後の課題はレーザーの高出力化といわれていて、このレーザーを作るのに大量の電力を使う。
変な話だけれど、電気を作るのに電気を大量に使うのも核融合炉の特徴だ。

そして、レーザー核融合の今は研究室の炉で実験段階。
今後は炉の大型化、その後に商用に展開という運びになるので実際に世の中に出てくるのは早くて40〜50年先と予想されている。
一般生活を含めレーザーが使用する大電力の供給と核融合炉の数が充実するまでは現在の核分裂炉で電力を供給するのが俺はいいと思っている。


ただし安全面では言いたいことはある。
そもそも原発を作るのはより電力を使う大都市部にするべきだと思っている。
有事の際の被爆者数を考えて田舎に建設したのだろうが、敢えて大都市に建設する事で有事が起きないように安全性を考えたと思うからだ。

といっても今更、今の原発を移設するのは無理なので、今後の核融合炉建設は大都市の地下なり埋め立てなりにし欲しいと思う。


最後に、
原子力発電所の敷地内に電力会社の本社を移転して欲しいと思う。

先ごろ第一福島原発事故の際の東京電力本社と福島とのやりとりの映像が公開され、本社の他人事のような危機感の薄さが批判を浴びているが、人間の本質として我が身に降りかからぬ事は他人事というのは致し方ない部分だと思う。

もし原子力発電所敷地内に本社があればきっと血眼になって安全対策を施すはずだし有事の際も最善を尽くすだろう。
これなら現在でもさほど難しくなく可能だと思うのだが。。。

手始めに関西電力本社は大飯へ、九州電力本社は玄海へ即刻移転して欲しいし、各電力会社は本社を必ず原子力発電所敷地内へ置くよう国が規制して欲しいものだ。



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