スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

敦望 だよ ? ハピバ 前夜祭 !


「お前、敦盛のこと好きだろ」

いつものように勝手知ったる他人の家ならぬ幼馴染みの家に気楽に侵入した(と言っても万年フリーパス持ちの)私に思いもよらぬ特大の罠が発動…いや気分的に大炸裂した。


【The flower before blooming,】


「ままままま…!まっさおみ君っ!!!???」
「で、どうなんだ?ってもその顔見りゃ図星か」

鋭いが鈍感なところがある幼馴染みは乙女心なんぞ無視して容赦無く斬り込んでくる。さすが還内府!数多の時空で辛酸を舐めさせてくれた事はある。でも何故恋愛まで斬り込んでくるんだろう?源平の戦いは現代でも逃れられない運命だったのね。
反芻する言葉と思考の海に頬が紅くなるのを任せていたがふと不安が横切る。

「将臣君、大きな声で言わないで!皆に聴かれたら…」
「皆は出掛けてるし、お前の気持ちなんてお見通しだぞ?」

まあ九郎と白龍は気づいてないけどな、とフォローをしてくれるがこの二人は恋愛事に関しては問題外だ。よってフォローの意味が全然ないと思う。
白龍は神様だから慈愛の塊だし隣人愛(?)だもの。人間の複雑怪奇な恋愛とは無縁で当たり前だよ。
九郎さんは恋愛事にはからきし弱い。源氏の大将としてとても不安です。天地の朱雀にレクチャーしてもらった方が良いかな?それとも恋愛小説でも貸そうかな。
…将臣君、お前も九郎と同類だという目で見ないで。と言うか、思考を読み取らないで。


──────────


長年の付き合いだ、考えはよく分かる。まして兄妹のようにずっと側に居たんだ。分からない筈が無い。それとお前は九郎並に鈍い。差があっても五十歩百歩だ。
脱線気味の幼馴染みの思考を戻すため本題に入ろう。

「あいつは難しいぞ」
「………」

一瞬望美の目が揺れた。その瞳に宿るのは怯えだろうか、それとも悲しみだろうか。流石にそこまで察する事は出来ない。
だが揺れたのは一瞬。直ぐ立ち直り、言葉の真意を探るように俺の瞳を見つめる。

「お前とあいつの溝は深い。源氏と平家とかの問題じゃない、それよりも深いモノだ」

ある事実をぼかしている為に言っている事は支離滅裂かも知れない。しかし伝える訳にいかない。
だが問わなくてはいけない事だ。二人の為にも。

「生半可な気持ちならやめた方が良い。どっちも傷付けだけだ。そして一緒にいたって幸せになれないかもしれない。
それでも」
「それでも私は敦盛さんが好きだよ」

言葉が遮られた。強い“言葉”で。

「敦盛さんが人間でも、人間じゃなくても好き。
私は『敦盛さん』が好きなの」

強い瞳だ。剣を握る時のような、いやそれ以上の強さ。覚悟を決めている者の目だ。
こいつは気付いていたんだな。

──そして…

「傷付いたって構わない。幸せになれなくても良い。
傷は癒してみせるし、幸せは作るものだよ。“私”が幸せにしてみせる」


「だから心配しなくていいよ。そして心配してくれて有難う」


──俺の言葉の真意を探るのでなく、俺の気持ちを受けとめるていたんだな。
俺の後ろを追い掛けていた小さな少女はもういなかった。いたのは立派な一人前の“女”だ。

敦盛、お前の敗けだ。こいつはどんな困難も艱難辛苦もお前の為なら乗り越えていく。さすがお前が惚れた女だ。
でもって俺も可愛い“幼馴染み”だ。口には出す気はないが望美の味方だ。他の奴らも清らかで無敵な“神子様”の味方だ。お前に味方はいないぞ?正直になれよ。

まあ今は、

「男前だなーお前は。そして恥ずかしい事を真顔でさらっと言うな」
「なっ!!!???
酷いよ、将臣君!」

真っ赤な顔で照れるこいつをからかって遊んでいよう。味方はいっぱいいるんだから良いだろ?

──恋や愛やらが花咲かすのはもうすぐだからな
続きを読む
前の記事へ 次の記事へ