岩田×岡本
受験生、新年
「…おはよ、岡本くん」
「………」
あり得ない。
岩田くんが目の前にいるはずなんてあり得ない。
新年を迎え数日たった頃、日頃の勉強の疲れを癒そうといつもより長く布団に潜っていた。
昼前だというのに外は肌寒く全く起きる気が起きずに何度もゴロゴロと寝返りをうっていた。
「寒い……いや、でもいい加減起きないと」
と体を起こすが直ぐにベッドにリターン。
何度同じことを繰り返したことか…寒さにはどうしても勝てない。
「うー…もういいや、もっかい寝よ。」
もう一度毛布をかけ直し眠りについた。
「んー……」
目を覚まし意識がはっきりしない中ケータイを開いた
時刻は2時。
少し寝過ぎた気もするけど取りあえず起き…
「…おはよ、岡本くん」
「………」
目の前には人の布団に潜り込みにこにこと笑っている男。
というより変態か、うん。
「ん?なにー寝ぼけてるの?」
といいながら人の頬をぷにぷにと抓る。
あぁ、これはきっと悪い夢だ。
夢じゃなきゃ岩田くんが俺の部屋…しかもベッドにいるはずがない。
俺の脳は何をみさせてるんだか。
「……夢、か。」
「ちょ、夢じゃないから!
現実だよ、岡本くん!」
再び目を閉じようとしたら両肩を捕まれてがくがくと揺すられた
「あー…はいはい、現実ですねー。
首がもげる、離せ。」
「その冷たさ……懐かしー!」
「勝手に懐かしむな!取りあえずベッドから出ろ!」
げしげしと足で蹴るものの全く効かずにこにこと笑っている
「んー、やっぱ会いに来てよかった!勉強疲れなんて吹っ飛んだ!」
「いやいや、こっちは睡眠妨害されてるんですけど!」
ベッドの上で暴れているうちにじりじりと距離を縮められ正面からすっぽりと岩田くんの腕の中に収まってしまった
最初は抵抗したものの久しぶりの岩田くんの腕の中の暖かさが心地よくて抵抗するのをやめた
「…あれ、もしかして痩せた?」
「…え?」
「何かお腹まわりの柔らかさが…減ってる気がする」
そういえば最近、朝か晩まで勉強漬けで十分にご飯を食べてなかったことに気づいた
「岡本くん…ご飯は食べよっか、体壊したら元の子もなくなっちゃうから!」
「いや、何か…忘れてた。」
はぁ、と盛大に溜息をはかれぎゅっと強く腕に力が入った
「そんな事だろうと思ってたよ……」
「……ごめん」
「いやいや謝んなくていいから!ね!」
ぽんぽんと頭を撫でられて少し泣きそうになりつつ、自分から岩田くんに抱きついたら背中を規則正しいリズムで叩いてくれた
こういう時の岩田くんはずるい
普段おちゃらけてるくせにいきなり真剣な顔をする
何か逆らえない。
「もー…岡本くんは頑張り過ぎ!
たまには息抜きしないと!」
「…うん」
「まったく…もうちょっと寝る?」
「ん……、」
「…おやすみ」
「おやすみ…
それ、と……ありがと」
「…やばい。
何この素直で可愛い岡本くん…!!
今すぐ押し倒したい…いや倒れてはいるけど……いやいや!
寝込みを襲うなんて男らしくないぞ!俺!!」
「ん、……ひ、…ろ…」
「!!?
…頑張れ俺の下半身!!!」
End