話題:怖い

もうかれこれ長いこと携帯電話をサイレントモードのままにしている。下手したら五年以上、自分の電話の鳴る音を聴いていないかもしれない。自宅用電話によくあるあのプルルルル！とかピリリリリ！といった独特な機械音はわたしにとって怖いもののひとつ。側で鳴ると心臓が跳ねあがって顔がこわばってしまう。

それは着メロだとか着うたでも同じ。ついでに言えば机の上に置いている携帯がバイブモードで振動した時の、硬質な音も生理的に無理。だからわたしは常になんの音も鳴らないようにしている。本当は携帯でネットを開いている時などに画面がパッと着信画面に変わるのも嫌なんだけど、これはまあ、サイレントモードのままにしておけば大分慣れてきた。要は予期せず音が鳴ることに恐怖感を覚えるのかもしれない。

同じようなことは玄関のチャイム音にも言える。宅配便の業者さんが来ようが近所のひとが回覧板を回しに来ようが、自分ひとりじゃなかなか表に顔を出せない。家族が家にいるときだって誰かが訪問する気配があると、扉の奥で息をひそめて動悸がおさまるのを待っている。