俺が高校生の頃、甲子園では田中将大とハンカチ王子が対決したり、ゴルフでは石川遼がしょっちゅうニュースになっていた。
そのたびに俺は母から、ハンカチ王子が出ればハンカチ王子のようにならなきゃだめだな、田中将大が出れば田中将大のようにならなきゃダメだな、石川遼が出れば石川遼のようにならなきゃダメだな、と言われてきた。そういわれるたびに苦しくなって、同時に泣きそうになってきた。
今は、何がダメなのかわからないと思う。とにかく、いちいち俺をバカにする母だった。他人と比較して、お前はダメだと言う。中1の頃は、英語を勉強していて、わからないところがあると『何、わからないところある?』と言って絡んできて、勝手に何回も自己流の覚え方を解説してきて俺が考えていると、『何、分からねえの?』と言ってきて、同じ部屋にいた小学生の弟がそれを聞いて母の自己流の覚え方をリピートすると、『ほら、○○(弟の名前)の方が覚えちゃった』って言ってきたり。兄としてのプライドはボロボロだったし、悔しかったし泣きたかった。でも、そこで泣けば、『何泣いてんの?』『何泣いてんのって聞いてんだ』『何で泣いてる?』『泣いててもわからないでしょ!』『泣くな!』って罵られたり怒鳴られたりげんこつで殴られたりしただろうな。実際、勉強していて、すらすら解けずに手が止まったら、例え考えている時間であってもこうされてきたからな。そういう教育では、田中将大もハンカチ王子も石川遼も、きっと育たなかっただろう。
絶対的なトップと比較して否定することで相手をこき下ろし、自らのやり方を押しつけ、即理解できなければ暴力で潰しにかかり、没個性化を図る。何かの怪しい宗教のようだ。俺はそれが嫌で家出したな。結局、今でも親は変わらない。臨床心理士に話したら、びびられるだろうなあ。これ。
こうやって俺は支配されてきたのだよ。だけど、もう終焉にしたい。
話題:メンタル