気まぐれ散歩道
🎩名探偵ホームズ2 まだらの紐
2013/08/19 14:20
コメント0

こちらは偕成社から出ている全22巻の名探偵ホームズ全集の2巻目です。
「まだらの紐」「ボスコム谷の惨劇」「悪魔の足」の三編が収録されています(^-^)b

「いまになってみると、ロイロット博士は、ぼくのおかげで死んだようなものだし、ちょっとかわいそうな気もするなあ。」
「なにがかわいそうなもんか。ジュリアやヘレンがお嫁にいくと、お金がなくなってしまうもんだから、インドの毒ヘビをつかって殺した悪党なんだぜ、あいつは。……どうせ、死刑になった男だよ。」
「そういえばそうだな。ところで、毒ヘビをミルクでてなずけたり、口ぶえでよびもどしたりできるとは、いままでまるで知らなかったよ。こんどの事件では、また、新しい勉強をしたわけだ。
 さて、ねむい、ねむい。きょうは、うちにかえったらぐっすりねようよ。」
「ぼくは、ねるまえに一仕事ある。すなわち、このたびの事件のことを、すっかりくわしくノートに書きとめてしまうことさ。」
とワトスンはいったが、つい、パンが丸こどはいりそうな大口をあけて、あくびをした。つられてホームズも、大あくび。
 ……ふたりは、おかしそうに笑いあった。


「まだらの紐」のラストです。


そして、こちらが…

 町には、さわやかな初夏のそよ風がふいていた。
 町をゆく人びとは、みんなそれぞれ平和で、しあわせそうに見えた。
 しかし、世のなかのどこかでは、たえず暗いかなしい事件が、おこっているものなのだ。
 その朝、ワトスン先生は、妻とむかいあって、食事をしていた。
 ワトスン先生は結婚して、いまは小さな病院をひらいているのである。したがって、親友のホームズ探偵とも、たまにしかあわない。
「あなた、ちかごろ元気がないわね。食欲もないし、顔いろもさえないわ。」
と、奥さんが、ワトスン先生にいった。
「患者さんはいっぱいくるし、仕事がいそがしすぎて、つかれているんだよ。医者はつらいね。」
と、ワトスン先生は、ふきげんな声をだした。
 すると奥さんは、くすくす笑った。
 奥さんには、ワトスンの元気のない理由が、よくわかっているのだ。
 つまりワトスンは、親友のホームズ探偵としばらくあわないと、てきめんにしょんぼりしてしまうのである。
 そんなワトスン先生を、神さまがあわれとおぼしめしたのか、そこへ女中がばたばたとやってきて、いきをはずませ、
「先生、至急電報がまいりました。」
と、一通の電報をさしだした。
ワトスンは電報をひったくり、もどかしそうになかをひらくと、
「おっ、ホームズからだ!」
と、うれしそうにさけんだ。
 いまにも電報をふりかざして、おどりだしそうなぐあいである。
 顔いろは、とたんにあかるくなり、ひとみはきらきらと、子犬のようにかがやいた。


「ボスコム谷の惨劇」の出始めです。

延原謙訳とはかなり違うので犯人がわかっていても面白いです。
それにしても子犬のようなワトスンが可愛いww

01)深夜の恐怖
02)まだらの紐
├ボスコム谷の惨劇
└悪魔の足
03)消えた地獄船
04)影なき怪盗
05)四つの暗号
06)赤毛連盟の謎
07)悪魔のダイヤ
08)白銀号事件
09)ブナ屋敷の怪
10)恐怖の谷
11)姿なきスパイ
12)赤い輪の秘密
13)呪いの魔犬
14)謎の人間猿
15)運命の指紋
16)吸血鬼
17)踊る人形の秘密
18)覆面夫人
19)顔のない男
20)まぼろしの王妃
21)恐怖の金庫室
22)ミイラ館の謎
※久米元一・野田開作・武田武彦・福島正実など翻訳者は一人ではありません。
※『まだらの紐』の翻訳者は野田開作です。



*新しい 古い#


TOPに戻る

-エムブロ-