▼ 【性癖】噛み癖


端から見たらなんてベタな光景なんだろう。シーツに容易く縫いとめられた手は自由を奪われ、居たたまれなくなるほどのいつになく真剣な視線が突き刺さる。首筋にちゅ、とリップ音を立ててキスをしたかと思うと、突然歯を突き立てられた。

「いッ、!」

思わず声を出す。その瞬間、歪むおそ松の顔。

「俺さあ、声出したらダメって言ったよな?」

楽しげに喉を鳴らして笑う様は、まるで悪魔だ。首筋から鎖骨へ、そこからわき腹を通って太ももを甘噛みされる。思わず吐息が漏れて、そんな私を至極楽しそうに見つめるおそ松が「変態」と罵る。

「こんな風にしたの、おそ松のくせに」

恐らく歯型がついているであろう首筋が、太ももが、じんわりと熱を持っている。まるで安価な媚薬のようだ。

「責任とってよ」

掠れた声で甘えるようにねだった。応えるようにおそ松が優しくキスをして、それだけで先を想像してたまらなくなる。腕を伸ばして首に回すと、そのまま掻き抱くように引き寄せて、べ、と舌を出す。ギラついた目で私を見ていたおそ松が、誘われるようにキスをする。理性なんて随分前に蕩けて無くなってしまっていた。








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