Nさんが、
ひと回りくらい若い彼女 A子ちゃんと
幸せに過ごしていたであろうその頃、
Nさんからランチに誘われた。
彼女ができても、一緒にご飯を食べることはあったので
特に何とも思わなかったけれど、
食べ終わってNさんは一服しながら話し始めた。
『どうしたものかなぁ…と、
思ってね。』
結婚の話が出てるという。
『あら、
じゃあ一緒になればいいじゃない!』
『そんな簡単にいかないだろ。』
結婚がイヤなわけではないらしい。
A子ちゃんところの小さいお子さんも
Nさんになついている。
『すでに、家族みたいじゃない。
何が問題なの?』
『子供が欲しい…って、言うんだよね。』
40を過ぎて、若い奥さんもらって
子供も出来て…
幸せになってる人はいくらでもいる。
でも、
Nさんの性格では無理だと思った。
先妻との間のお子さんはまだ学生だったし、
その子たちはお父さんが大好きだった。
Nさんもとても可愛がっていて、
養育費も面倒見てたし。
今 再婚なんてして新たにお子さんが出来たら、今までのようにはいかなくなる。
きっとどちらも中途半端になっちゃって
Nさんはしんどい思いをすることになるだろうね。
私は、きれい事じゃなくて 思ってることを話した。
『やっぱりそう思う?
彼女も若いんだしさ、これからまだ出会いもあると思うんだよね。』
こうして、
NさんとA子ちゃんは、
数ヶ月で終わった。
あの時、
私はNさんに思いとどまるようにすすめてしまったけれど、
本当にそれがよかったのか考えることがある。
あの時の私の言葉が、
結果的に今の私を救うことになった。
世の中は
そういう風に出来てるのかなぁ。
A子ちゃんは、
またステキな人を見つけて幸せに暮らしてるだろうか。
Nさんは、
後悔していないのだろうか…