曖昧

草食君は絶対に自分から会いたいとかしたいとか泊まりたいとか言わない。
全て言わせようと仕向ける。
それは照れ隠しにも見え、そして責任転換にも思える。
そうそう、腕の傷のことを掘り下げて聞かれた。
自分でカミソリで切ったと正直に言ったら私の腕を掴みながら、よくない、そういう勇気は他のことに使ったほうがいいよ、と言われた。
他にも色々聞かれたけど、草食君は混乱してるのか受け入れられないのか、沈黙を交えながらの会話。
レンのことについては、どうにかならないのかな、と迷子のようにつぶやいた。
私が描いた絵をちょっと見せたら、テンションが急に上がってすごいすごいと褒めてくれた。
次はすごい儚い感じの女の子かポップな感じを描いて欲しいと言われた。
描いたとしても、次があるのかな。
草食君は優しいけど、どこか距離を置きたくなる。
きっと草食君にはもっと明るくてかわいい女の子がお似合いで、いつか彼女ができて会わなくなるんだろう。
でも私が電話に出なくても、メールを返さなくても、電話もメールもくれる。
鈍感なのか、計算済みなのか、適当なのか分からない。
今回は二回だけ交わって、一緒にお風呂に入って、今草食君は寝てる。
私はソファーで暇つぶし。
何を思ってるのか聞きたい、でも逆に私が聞かれても教えられないから聞かない。
曖昧で不透明な関係。
こういうのは慣れてるから大した痛手はないけど、気になるのは何故かしらね。
くだらない下半身女を、しかも決して見た目の良くないデブスを、どうして抱こうと思えるのか。
不思議な世の中だ。