或る軍師の独白
2014/12/11 20:27
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「前線に立たないくせに」

一部の部下から、そう陰口を叩かれ白い目で見られているのはわかっていた。
今日も最善の策と称して部下を危険に晒す。そのくせ身体の弱い私は比較的安全が保証されている後衛で報告を聞き指示を飛ばすだけ。
部下と共に前線に立つアマリリスとは違い、私は情報でしか戦場を知らない。
この目で見るのはいつも戦いが終わり、怪我を負った部下たちと、荒れた戦場だけだ。

だから、毎回危ない目に遭いながら戦っている彼らの中で反発する輩が出てくるのは当然で、私はそれをわかっていながら、更に彼らを切り捨てる。軍の和を乱す者は不要だから。上に指示を仰ぎ、反発する者たちを処分する。

これが最善。

例え冷たい人だと思われても、私がそれを最善だと判断したのならば構うことはない。
周りにどう思われようとも、手を汚そうとも。

後悔はない。

だって私の最善は、できるだけ多くのものを守るための最善だから。

だって私は、こうやって今までずっと最善を尽くし続けてきたのだから。

これが私の生きる道


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