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椿の花が次から次に咲いている 私は上京して長い間 この花を椿と認識出来なかった‥ 私が生まれ育った実家に 椿があったにも拘わらずである 認識出来なかった理由は、その品種にある 実家の庭には 池に添って椿が植えられていたが、その品種は 「肥後椿」 であった 肥後椿は熊本で古くから愛好されている花で、肥後椿にも様々な種類があるのだけど、その咲き方の特徴は一重平咲き 一般的な椿の花はカップ咲きだから、咲き方自体にも違いがあり、且つ 花のサイズが全く別物のように肥後椿は大きい 椿の花の散り方は よく知られているように 花ごとポトッと地面に落ちるが、肥後椿は花が大きい分、其の落ち方は文字通り ボトッ‥ という重たい音がしそうな程であった このように、産まれて高校生まで見てきた肥後椿が 私にとっての椿であったため、上京して目にする椿の花は「椿の木に似てるけど この小さな花は何だろう?」という認識だったのである (笑) 花ごと落ちる特徴は、首を落とされるようなイメージが湧くため 武士に嫌われたと よく聞いた覚えがあるが、どうやらそれは俗説のようだ 花びらがバラバラになることなく ボトッと花ごと落ちる様は、反って潔い花として武士に愛好されていたようである ‥ そうでなければ 士族意識のあった昔の私の実家に 其の花が植えられていた筈もない まだ2月‥ 我が家のベランダから見える景色は寂しげだ モミジの木に葉は一枚も無く,コブシの木も枝ばかり‥ 金木犀は緑を魅せてくれてはいるものの 辺りはやはり色気がない そんな中で 冬から赤い花を次から次に展開してくれている椿は ありがたい 虫もまだ少ないこの寒い季節に、何故彼らは花を咲かせるように成ったのだろうね |