話題:妄想を語ろう
地獄
「‥あなた、また此方に来たんですか?」
カフェで働く女性
人間界出張時には
必ず彼女の淹れたカフェラテを頂く
前回同様 おどおどした様子で顔を上げる
「此処では目立つので、此方へ」
隣には亡者の列
生身で迷いこんだ珍客を好奇の目
または嫉妬に満ちた目でジロジロ
「さ、本当に危険なので‥失礼」
異様な世界に戸惑う彼女の肩に手を添え
奥の間へと導く鬼灯
「‥此方に来る前に何をしていたか覚えていますか?」
芳ばしいお茶の香り
一口 くちに含み、ため息を吐く
「‥覚えてない‥です。済みません」
「焦らなくていいですよ」
名簿を確認
(‥彼女は今日死ぬ予定ではない‥)
前回と同じ理由かと思ったが‥
「あなたが思い出すまで私の家にいた方がいい。ついて来て下さい」
驚く女性 当然の反論をする前に詰め寄る
「此処は地獄です。亡者でもないあなたの様な女性が1人歩いていたらどうなるか‥事細かに説明した方がよろしいですか」
鬼灯の気迫に圧され
しおしおとお辞儀をする
「お、お願いします」
「裏口からいきましょう」
地獄の羽織を渡し
裏口へ
地獄の中の生き地獄