20/11/23 23:32 (:単発/妄想(ジャンル無節操))
  ドウデモイイハナシ〈鬼畜さんと嫉妬深い妻〉
話題:妄想を語ろう

「貴女は伴侶を大事に想っている」

「‥‥。」

嫉妬深い 目の奥、蒼く燃える炎

駅前の公園
いわれなくても此処で待つ女

「貴女に神が持つ力を与えるよ」

再度話し掛けられ ぼんやりと答える

「神‥?なんなの」

女の視線は改札口を射抜く様
情熱が地面までをも濡らす

「目を瞑れば愛しの彼の行動が手に取る様に分かるよ。いつでも、貴女が望めば」

そんなバカな
そう思ったが、気紛れに望んでみた

「それは便利ね‥見返りは?」

初めて女の視線が絡む

「僕はなにも。貴女の望みを叶えたいだけなんだ」

「‥お願いするわ」

一歩、二歩 近付く気配
季節でもないのに甘い花の香りがする

「‥これで貴女の思うがまま」

(撫でられた‥?)

額と両目蓋に触れられた余韻

(なんの香りだろう)

同時、浮かぶ光景

彼が駅の階段を降りてくる
左手には女の大好物

「え!見えた!?」

「喜んでもらえて良かった。お幸せに」

にっこり微笑み
雑踏に消える

入れ替わる様に夫の姿

「迎えに来ていたんだ。これ、ケーキ」

手渡された箱を受け取る女

(本当に彼がみえた‥本当に!)

女の瞳が輝く

「お。嬉しそうだね!ここのケーキ大好きだもんな」

よしよし撫でる温かい掌

ああ これでいつでも彼を‥!

希望満ちる 今、この瞬間

二日後

「どうしたんだい?血相変えて」

夕日が顔を染める
まるで血を浴びた女

「ねえ!この力要らない!外して」

「なんで?いつでも彼を感じられるのに」

公園のベンチ
寛ぐ鬼畜さんに掴みかかる女

「冗談じゃないわ‥あのひと浮気していたわ‥女に触れる感覚も伝わる、ケーキだって、そもそもあの女の行きつけだったの」

〈これ多分キミが好きな味だと思って〉

嘘つき!嘘、嘘!!

〈花束でも上げたら喜ぶんじゃない?奥さんさぁ相当嫉妬深いんでしょー?私が選んであげるよ。まだまだバレたくないし〉

〈そうだな〉

くちづけした感覚が伝わる

「ねえ、この気持ち悪い力取ってよ!」

今も抱き締められる感覚が

身体中、指が這いずり回る

「ねえ!ねえ!気持ち悪いの!」

「神の力、全ての行動を視る」

「そうだ!こっちから手は出せないの?」

「無理なんだ、神はね」

女の耳元で囁く

ミテイルダケ、ナンダ

全てを知る代わりに手出しは出来ない

彼が他の女を愛しても

そして

その手で私を抱き締めても

「こんな、こんな力を話したって‥」

気味悪がって浮気相手に逃げるだろう

だって、愛撫する手は止まらない

視たくもない光景が脳を支配する

「ねぇ‥お願いだから‥」

女の手は鬼畜さんの胸元に
その縋る手を握り 微笑む鬼畜さん

「大丈夫。貴女は彼の全てを手に入れたんだ‥貴女の憂いは消えた。秘密はもう無いよ」

彼の愛も 彼の寄り道も
淫らな行為も全て全て

「貴女は全て手に入れたんだ」

この力は 死ぬまで有効













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