18/12/19 23:05 (:単発/妄想(ジャンル無節操))
  尾形百之助と鍋
話題:妄想を語ろう
「尾形さん今日は?」

「此処から少し離れた街に用がある‥何だ?ついでの用事でもあるのか」


「あぁ街へ‥どうしよう、このお肉‥」

女は困った様に肉を見つめている


「俺はいい、他の奴と食べたらいい」


「そうですか‥じゃあ。珍しいお肉みたいで、尾形さんも一緒にと思ったのですが‥道中お気を付けて」


道が分かれ


少し、離れた場所で手を振る女


尾形の視線を送る先

「‥ん!?あれは」


あの肉、、
あの妙な記憶


急いで
女の後を追う尾形


「‥!!尾形さん?」


尾形の形相に驚く女
無理もない‥

この肉は危険だ!!


「この肉、何の肉か知っているのか」


「はい、ラッコの肉だそうです」


平和な
何も知らない笑顔


「やっぱりそうか。所で今日、白石は宿に居るのか?」


「朝早く杉元さんと出掛けました」


「あぁそうだったな‥宿には誰が居た」

「土方さんと家永さんです」


(マズいどちらにしてもマズい面子だ)


焦りながらも冷静に問う

「食べる気なのか‥ラッコ」


「折角頂きましたし‥」

宿に向かう女に

ついてくる尾形


「尾形さん、方向違いますけど‥一体どうしたんですか?」


女の疑問にラッコ肉がダラリと揺れる


「いや‥ちょっとな」


とうとう、宿まで戻って来た尾形百之助

「この宿は部屋でも鍋出来るので用意します」


「ん? 今日は出掛ける筈ではなかったか」

土方が
奥から声を掛ける


「ヤボ用で」


(家永もマズい‥)


ただ、この二人なら俺が正気を保っていれば‥どうにか


ガラララ


「おう、帰ったぞ」

(‥何っ‥牛山!?)


「早いな、まだ時間掛かると思っていたが」


土方が新聞から
顔を覗かせる


「あぁ、思ったより早く済んで良かったぜ‥なんだ?この肉」

捌く女の後ろから

興味深くその肉を見る。


「ラッコのお肉です。精がつくそうで」

「俺が食べたら凄そうだな‥楽しみだ」

―危険だ

いや!まだ捌いている最中
「‥あっ!?尾形さんお肉ッ」

ラッコ肉を奪取し
駆ける尾形


「‥尾形‥あいつ、そんなに精力つけたかったのか」


何故か

憐れむ様な目で
遠くを見つめる 牛山

「確か残っていた鮭あったわよ、鮭鍋にしましょ」


家永がいそいそと
鮭を持って現れる


「そうだな、ラッコは‥な」


土方が新聞から目を離さずに零す


「尾形さん‥」


見ず知らずの夫婦にラッコ肉を渡した

尾形百之助


「‥猛獣の檻に仔猫放り投げる様なもんだろ‥あの面子で」

ラッコ鍋だ、なんて

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