ドンが文字通りその命をもってケジメをつけ、いったん争いは鎮まった。
代わりといっちゃなんだが、ドンの消失はユニオンに大きな穴を残した。
どこもかしこも暗く沈みこんている。

例にもれずカロルもだ。
今まで目標にしていたドンを亡くしたこと。
変化する周りの状況に流されるままでいたが、ドンの最後の言葉を聞いて、見て深く考え込んでいた。

ドンはそれだけ影響があったってことにつくづくデカさを痛感する。




……俺も俺なりにケジメをつけなきゃなんねぇ、か。

あんな最後を見せられたらな。
まずは凛々の明星(ブレイブヴェスペリア)からだな。
そのためには船の動力を破壊して消えたジュディの後を追うか。




――――なんでも出来るユーリとは違うんだ!ボクはユーリと違って強くないっ!



投げやりだったカロルの叫びを思いだしそっと息を吐き出す。
俺もカロルとそう変わらねぇと思う。ただ生まれ育った環境と経験が少なからず影響しているだけだ。



「あの……ユーリさん」
「ん?」
「あの……その…」
「なんだよ」
「わ、私はいますっ。ユーリさんがどんなケジメをつけても、ずっといますから…っ。
だ、だからそんな顔しないでください!」


急に何を言い出すのかと思いきや。シアにはなんでもお見通しってか。
振り向けば夕暮れで光る髪が黄金色に輝き、不安そうな目で見下ろすシアに目を奪われる。
何度めだ。こいつの姿から目が放せないのは。


「そ……それにドンとも約束しましたからっ。
ユーリさんやギルドの皆さんのことを見守るって……っ」
「……っ!ドンと話したのか」
「はい…」



泣きそうに頷いたシアにそうかと返す。
幽霊のコイツが話せる機会はあの時しかねぇ。
死んでもギルドを心配するなんざドンらしい気がすんな。


「そうか。……なら最後まで見届けろよ」
「はい。――――でもドンとの約束があるからずっと側にいるわけじゃないんです……」
「ん?」
「あ、いえ……なんでもありません」


そう言うとシアは視線をさ迷わせ、そのまま上にいっちまった。


「なんだったんだ?」


彼女が何を言いたかったのかさっぱり分からねぇ。
けどなんつーか、胸がじんわりと温かくなったのに気づく。ったく、最近こんなんばっかだな。
オレは首をかしげつつ、リタとエステルの姿が見えた出入口に向かって歩き出した。






灯る想い






(いっきに色んな事があったが、二人はどうすんだ)
(あたしは一緒に行くわよ。エアルクレーネの調査はあんたらと調査するって決めてるしね)

(わたしも行きたいです。ジュディスは一緒に旅した仲間です)
(魔狩りの剣に狙われているかもしれないのに、放っておけません)

(あの女を助ける義理ないでしょ。船の魔導器を壊したのよ)
(とかいいつつ、オレと一緒に行くんだから素直じゃないよな)
(あたしはあくまでエアルクレーネの調査!あの女を、た、助けるためじゃないんだから)
(うふふ。リタは優しいですね)
(だから、違うったらっ)

(はいはい)



(ともかくだ、ジュディが何を知っていて何を知らないのか、全部話してもらう)
(ギルドとしてのケジメをつけるために)

(そーはいっても、肝心のボスがいなきゃダメじゃん)
(アイツは来るさ。こんなとこで終わりゃしない)