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貧民を養うために我国で支払われている巨大な租税は、疑いもなく、英国穀物の価格のもう一つの有力な構成要素をなすものであるが、しかし私が本文でこれを挙げなかったのは、けだしそれは常に穀物の価格と共に低減するが、他の二構成要素はそうはならぬからである。』 しかるにこれは第三版に至って、二つの註は共に削除した上、更に全文は次の如く書き改められた、――
『しかしながらこの主張は、多くの限定を附さなければ事実ではない。特定の国における穀物の貨幣価格は、疑いもなく、労働その他一切の貨物の価格を左右する最も有力な構成要素である。しかしアダム・スミスの主張としては……(訳註――この間本文最後から三つ目のパラグラフの後半に等し)……のほとんど全部をなしているのである。従って、労働の労賃のうち食物に支出される部分は穀物の価格と比例して騰貴するであろうが、しかし労賃の全部は同一の比例では騰貴しないであろう。ある国で工業機械に大きな改良が行われた時には、加工貨物の価格のうちその獲得に使用された固定資本の利子を支払う部分は――この資本は労働の価格の騰貴以前に蓄積されたのであるから――漸次的更新に必要なものを除いては、この騰貴の結果として騰貴しないであろう。そして多額のかつ多数の消費税が課せられる場合には、労賃によって生活するものは、常に、租税を、少くとも必要品に対するすべてのそれを、支払うべき、元手を受取らねばならぬから、穀物の価格の騰落は、労働の労賃のうち食物に投ぜられる部分を増減せしめるけれども、明かに、租税の支払に充てられる部分はこれを増減せしめないであろう。』
フランスはおそらく、戦争終結当時、この時点からいくらか隔っていた。しかし婦人と子供の比率が増大し、兵役年齢の男子が著しく減少している、人口の現状では、フランスは、その人口の源泉を破壊することなくしては、一時行ったと同じ壮図を実行することは出来ないであろう。
しかるにその他のもの、例えば光と色、音、香、味、熱と寒、また他の触覚的性質は、ただ極めて不分明に不明瞭にのみ私によって思惟せられるのであり、従って私は、それらが真であるのか、それとも偽であるのか、言い換えると、それらについて私の有する観念が或るものの観念であるのか、それとも何ものでもないものの観念であるのか、をさえ知らないのである。というのは、たとい私は少し前に、本来の意味における虚偽すなわち形相的虚偽は、ただ判断においてのみ見出され得ると述べたとはいえ、しかし観念にして何ものでもないものを或るものであるかのように表現する場合、たしかに、或る他の質料的虚偽が観念のうちに存するのである。かくて、例えば、熱と寒について私の有する観念は極めてわずかしか明晰で判明でないので、これらの観念によって、寒が単に熱の欠存であるのか、それとも熱が寒の欠存であるのか、あるいはまた両者共に実在的な性質であるのか、それとも共にそうでないのか、私はこれを見分けることができない。ところで或るものの観念であるかのように思われぬいかなる観念も存し得ないのであるから、もし実際に寒は熱の欠存以外の何ものでもないことが真であるならば、寒を実在的な、積極的に或るもののように私に表現するところの観念が、偽と言われるのは不当でないであろう。その他の場合も同様である。