0413/たくさんの茶番劇:途中

いたって真面目な茶番劇


あなたの思いつくままにことばを紡いでくださいな
お話を書くも詩を紡ぐも、すべてあなた次第

どんな言葉を紡ぎますか?




ただいま混雑しております
色んな人がわちゃわちゃしております。
適当にやっていきます。

色んな人が死んでます。




《いたって真面目な茶番劇》

・どろだらけユートピア




「汚い」



赤黒い返り血で汚れた自分の服。汚い。こんな姿、あの人に見せるわけにはいかない。



「着替えてこなきゃ」



昨日も今日も明日もあの人が存在するだけで素晴らしきこの世界の朝焼けを背に、鋏を振りかざしては赤黒いどろをかぶる。
あの人に近づく為に、あの人のそばに居られるように。あの人の仕事が少しでも減りますように。



「KKさん」



今日はどんなお話をしようかな?












・ここにある妄想郷




「兄ちゃん」



恍惚の表情を浮かべて青年は頬を撫でる。その手つきは愛しむように見えた。
頬を撫でている相手が人であれば、まだ青年の心も救いようがあったのかもしれない。



「空兄ちゃん、景兄ちゃん、俺ね」



青年は二つの頭蓋を見つめながら嬉しそうに話す。片方は前頭部の骨が半分ほど無くなっていた。
今日の出来事を報告し終えたのか、青年は頭蓋に背を向け、部屋を出ようとして一言。



「はやく怪我治るといいね、空兄ちゃん、景兄ちゃん」













祈り紡ぐ過去形の




夢。



「ネロ!」

「…ワイス?」

「大丈夫か?うなされてたぞ」

「え、あ…そ、っか…ご、ごめんね。今何時?」

「朝の5時」

「えっ!」

「心配になって起こしたんだ、何か嫌な夢でも見たのか?」

「ご、ごめん!おれワイスの邪魔しちゃった…」

「それは別にいいって。で、何か見たろ」

「う…見た、けど」

「けど?」

「また、今度じゃ駄目かな…今は、話したくない、から」

「…分かった、じゃあもっかい寝ろ。オレが居てやるから」

「…うん、おやすみワイス」

「おやすみ、ネロ」



深く深く沈んでゆく。

前の世界に居た時に見た夢は。

今はもう、叶ってしまって叶わなかった。

この夢は叶わなかった。

この夢は叶った。



この夢は、永遠に忘れる事が出来ない、おれとワイスの小さな、祈りの歌。













キャラメリズムレイニー




「…甘い」



ただの気まぐれで雨粒を一つ、舐めてみた。久々に舐めたそれはとても甘かった。内側から溶かされそうなほどに。
雨なんて無味、とまでは言わないがこんな砂糖水のような甘さなどありえない。
世界になにかあったのだろうか、いや、何かあったのだろう。天候の調整が出来ていないのだから。



「大騒ぎ、しているのかな」



今頃、外で起こっている事態を想像して他人事のように「大変そうだねぇ」と呟いた。実際に他人事なのだし。
ただ、この箱庭から出られない自分には関係の無い事ではあるが、気になってはいる。

世界に何があったのかと。



「無茶してないといいんだけど」



目を離すと結構な無茶してたりするから困ったものだ。ここ最近、顔も見せてないからよほどの事なんだろう。



「やれやれ、心配する者の身にもなってほしいよ」



はやく、世界が元気になって茶を飲みにくればいいのに。















キャベツ畑の大脱走




逃がすな。



「無茶するよねー」

「本当にな」



上からの命令はただ一言、「逃がすな。」とだけ。それはつまり、戻らないようであれば殺せという事でいいのだろうか?
逃げる同僚の背中を見て「小さい背中だな」と、なんと無しに考えていた。



「KK、余所見してっと不意打ちされちゃうよん」

「うっせぇ、分かってる。あとキモい」

「やだドイヒー」

「…お前いつの人間だよ」

「さぁ?」



無駄話をしながらでも確実に逃亡者との距離は縮まっていく。あの角から殺気がするから多分待ち伏せしてる。
アイコントタクトでAKに指示して二手に分かれた。裏切り者は逃げるのに必死で此方に気付いていないようだ。



「ほら死ね」



左右から待ち伏せ諸共、お掃除して終わり。簡単な仕事だった。



「なーんで今更会社を抜けようだなんて思ったのかねー」

「さぁな」



普通の人間だから、嫌になったんじゃねぇの。



「…それ、俺らが普通じゃないって言ってるよーなもんなんですけどー」

「少なくともお前は普通じゃねぇよ」

「えー?」



無残な屍を見て、ふと考えた。「いつかは、俺もAKから逃げるためにAKに殺されるのだろう」と。
兄からに逃げるなんて、おかしな話だが、ありえないことではない。
あいつはもう、人と呼べる程まともな精神をしてないんだから。













親愛なる詐欺師さん




「さようなら」



何も知らなかった昔の自分。
ごとりと床に倒れたものが死んだと教えてくれる。簡単に騙されて近づかれて情報を喋って揚句、殺された哀れな死体。頭に開いた穴からは血がとめどなく溢れていた。



「こんにちは」



何かを知った今の自分。
一つ目のお仕事はこれで終わり。今日も出だしは好調だ。この調子でさくさくと二つ目、三つ目もこなしてしまおう。そして帰ったら久々に趣味に没頭しよう。



「さぁ、今晩もどれだけの人が俺に欺かれてくれるのかな?」



今日も明日も人を騙すだけの簡単なお仕事。男の俺が女に化けても誰も気付いたりしない。俺が仕事で近づいてるなんて誰も気付けない。俺の本心なんてものを誰も、見ることは出来ない。
これまでもこれからも人を騙すだけの、自分をも騙すための簡単なお仕事。
















エンドロールを逆再生

モノクロームモノマニア

青春サバイバー

ロックンロールを駆け抜けろ

偽物ドラマチック

反逆するモラトリアム

マキャヴェリズムヒーロー

僕の僕による僕のための、

いたって真面目な茶番劇



あなたの紡いだお話やことばが、どうかきらきらかがやいていますように
ありがとうございました!



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