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きみはやさしい

「女の子はワガママを言う生き物だよ」「きみは誰よりも優しくてかわいい」「来年も再来年もずっとその先も一番最初に生まれてきたことを祝わせてください」「しあわせになろう」



思い返せばたくさんの言葉をもらって、それがとても嬉しくて仕方なかった。初めて金平糖を見た時にも同じようなことを思った。色とりどりでコロコロしていてかわいくて甘い。大切にしないといけないなって子供ながら強く感じて、お気に入りの小瓶に入れて戸棚に入れておいた。
当然だけど、金平糖は砂糖の塊だからいつか食べなきゃいけない。大切にしていたはずなのに、いつの間にか私は存在を忘れて何もなかったことにしていた。




もらった言葉は写真として何百枚も保存してあった。責められているような気持ちになって一枚も読まずにまとめて削除していった。不思議と涙は出なかったので、本当に私は薄情でどうしようもない人間だと思ったよ。心が痛いんじゃなくてただあの頃の思い出がぼんやり脳裏をかすめただけだった。










久々に金平糖を買って食べずに握り締めたら呆気なく割れて手のひらからこぼれていった。一箇所だけ刺さったままの欠片を舐めとると甘すぎて吐き気がした。

本当は他人にやられた痛みを別の善人にやり返しているだけなんだって気付いているから幸せになんてなれないしなりたくもない。
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