Sep23::映画
 百花

前情報はクチコミが低いってことくらいしか
入れずに観て来た。

話題:今日映画館に見に行った映画

過去と今の時間軸が〜ってコラムで読んで、
そんなわかりづらい作り方したん?
監督が原作だから陶酔で客観視できないやつ?
みたいに身構えてたのよね。

いやでもふっつーにわかるやつだった。

過去にこういうことがあってトラウマになってます、
ていうくだりを描いてからよりも、
断片が挿入される流れのがストーリーもスムーズだし、
私は好きだけどなぁ。
叙情感が出る。

みんな考えなくていい映画が好きなのか。
パッと見てわかるシナリオがウケるのか。

知性のレベルで言えば、
近代文学全盛期の頃よりは確かに落ちてはいるよな。

鴎外とか永井荷風とか、
仙台の仲良しさんと話してて思ったから、
なんか私にとってはタイムリーな映画だった。

ストーリーはめちゃくちゃいいし、
身内が認知症(原因不明のやつ)だったから、
共感できるところもあった。
つらいんだよな、
孫なのに他人感があるところも
目が合ってるのに焦点が合わないところも。

自分が1番良かった時期は覚えてるとか
諸説あるけど、
最終的には人じゃなくなっちゃうからね。
生活もできなくなっちゃう。
基本的な記憶もなくなっちゃう。

倍賞美津子の肌が綺麗でびっくりだよ。
特に若い頃のは特殊メイクなんだろうけど、
違和感なさすぎて。

あの人はきっと亡くなったのか、
音信不通のまま生き別れになってしまったんだろうな。
携帯が普及する前の時代は
そういうこともあったんだろうし。
(当時の私は小学生だったので携帯持ってなかった)

そこまでの描写がなかったので
想像するしかなかったんだけど、
幻覚で見えるってことは行方不明だったのかなぁ。

原作小説までは読みたいと思わなかった。
身近な題材だからつらすぎて読めない。
私は逃げちゃったからさ。
別人みたいになっちゃったばぁちゃんが
見てられなくて。

最後に見た元気な姿は植物人間みたいに
寝たきりで瞬きもしない、
辛うじて生きてる状態だった。
(そのまま回復しないで危篤になって亡くなった)

今思えばあれはほぼ間違いなく狐憑きだったけど、
過ぎたことを悔やんだところで為す術はないし、
私がああならずに済んだのは
引き受けてくれたからなんだなって思う。
今は悲惨な姿だから、
あんまり口にしたくないんだけどね。

持ってくよって、
危篤になって最後に対面したあと言われた。
元気だった頃の声で。
大好きだった頃の姿で。

笑ってたんだよなぁ。
つらいのはばぁちゃんなのに。
何も出来ないままでいるのが申し訳ないくらい。

そういうのを思い出しちゃうけど、
映画自体は綺麗な作り方をしてるから、
エンタメが観たいだけじゃない人には勧めたいなぁ。


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