咽び泣く紫の花 : aria : bookmark


2013/2/4 Mon 18:32

私の愛らしい王子様




芥川賞作家、あさぶきまりこさんのご本を読みました。

わずか100頁のご本ですのに
1週間近く読んでおりました。

とてもとても読みにくい。

小説、というカテゴリでいいのか分かりません。

とりとめなく、脈絡なく、延々と続く文章の連なり。
意味が分からないし、意味が在るのかどうかも分からない。

フィクションなのか、何か含意があるのか、作者の心の中なのか。
全くもって、理解不能。
そして、理解されたいと思っているのか否か。


けれど、眩暈のするほど、語彙が美しい。

これほど美しい語彙を使う現代文学作家を、私はほかに知りません。

これは、間違いなく文学です。

高尚な語彙を、さらりと自然に使う。
まるで普段使いの話し言葉のような気軽さとさりげなさで、
息を呑むような高潔な単語を使う。

肩肘張らず、威張らず、傲慢にならず。

さらさら流れるように、美しい語彙が現れては消える。
押し付けがましい余韻を残さずに、さらさらと。


本当に、憧れます。
憧れる、と思う作家に久々に出会えました。


私は図書館で「きことわ」 も読んだのですが
今度購入して手許に置こうかしらと思っております。



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