ファンフェスが終わって1週間、しばらくバタバタしていたミーティングルームも本来の落ち着きを取り戻していた。それまではどこの班とか関係なくバタバタ走り回っていたんだ、それこそ普段なら余裕を持って行動出来ている班ですらも。
 これでしばらくはゆっくりと活動が出来る、そんな風に俺がホッとしていたのも束の間だった。俺と響人は個別に部室に呼び出され、監査の宇部からお叱りを受けた。その内容はファンフェスのステージのこと。いくら何でも完成度が低すぎではないか、と。
 反論はしようと思えばいくらでも出来る。そんなモンお前、日高が急にステージをやるとか言うからこっちだって準備出来なかったんだーとか何とか。だけど、俺がそれを言うことはなかった。何故なら、宇部が先回りしてこちらの事情まで酌んだ上でのお叱りだったからだ。
 響人が遅筆であること、班に台本を書ける人間がほぼいないこと、そもそもステージの話が降って湧いたのが3週間前であったことなどを加味してももう少し何とか出来たのではないか、と。俺はそれに「もしまたこんなことになったらある物を使って時短出来るようにする」と返事をした。