「うう、緊張するなあ」
「へーきだって! もう通話だってしてるし、なんならTRPGだって収録したじゃんか! 今更今更!」
「でも、教授さんとソルさんてUSDXの黒幕とかラスボスとか、そういう人たちなんだろ。いざ面と向かって話すとなると。しかも収録のとき俺結構バッサバッサ行ったじゃんな」
「それがGMの仕事だ。堂々としてしろ」

 ゲーム実況集団USDXにTRPGのシナリオを提供して、さらに動画収録でゲームマスターまで勤めてしばし。通話こそしたもののコンこと菅野、チータこと菅野、それからバネことリン君以外のメンバーとは面識のない状態が続いていた。
 きっかけは、ゲーム実況者とはという生態の見学だったワケだけど、あれよあれよとシナリオライターになり動画にまで出演してしまったからには挨拶のひとつは必要だろう。そんなワケで豊葦市内某所マンションで行われる打ち合わせに呼ばれたのだ。
 なんでも、USDXはメンバーが集まってわちゃわちゃとゲームをやることも多々あるとかで。通話だけに留まらない活動模様ということなのだろう。興味はあるけど、怖い。如何せん順序が。普通シナリオ提供や動画出演より挨拶の方が先じゃないかと!