菜月さんがイライラしているのは明らかだった。紙の上にはシャーペンの芯が折れた跡が山積している。菜月さんの横で指示を出すのは三井。三井の言うことを一言一句漏らさず書かなければならないという拷問を受ける中で、ストレスが溜まっているのだろう。
 事の発端は、僕が持ち帰ってきた1枚のディスクだった。インターフェイスでは作品出典と称して各大学の制作した作品を持ち寄りモニターするという活動がある。先月の定例会では星ヶ丘の作品が提出されていた。今月の定例会を直前にして、そのモニターをしなければならないことを思い出したのだ。

「自分のキャパ以上の脚本な上にそれを演じる方もついていけていない」
「自分の、キャ……あっ」