ゴリゴリゴリ、と粗く挽かれた黒コショウがスープの上を埋め尽くす。最近のコショウは容器がペッパーミルのようになっているから挽きたてほやほやの風味が楽しめて……とかそんな呑気なことを言っていられる量じゃない。

「菜月先輩……どこまでコショウを挽かれるのでしょうか」
「え、まだまだこれからだろ」
「あの、一度手を止めていただいてよろしいでしょうか」

 鍋一杯に作られた中華風スープ。これは、大学祭でMMPが2日目と3日目に出展する食品ブースで売るものの試作品だ。俺と菜月先輩の予定が合いやすいということで、昼放送の収録後にでも作ってみてくれないかと圭斗先輩からの指令が出されている。