再開と決意



数ヶ月前に入院し、退院をした慶龍を迎えに行った。

彼と付き合い始めて、4年の月日が過ぎていた。
未だ彼を受け止めることができずにいる。
そんな自分が、今更どうすれば関係をとり戻せるかが分からなかった。
そんな自分を許せなかった。
許されるとも思えなかった。

彼の親代わりとして過ごす、武雄力の言葉が、自分の固まった考え方を動かすきっかけになった。

慶龍に良く見て欲しかったこと、
完璧な自分でいたかったこと、
自分の気持ちに素直になれなかった日々

考えてみると、
彼が俺にくれた、過去の出来事や言葉がが次々と浮かんでくる。
俺が自分らしくあれるように、
ずっとずっと、言い続けてくれていた。
互いの愛を繋ぐ言葉を話してくれていた。


気がつけば、
迎えに行く足に、迷いが無くなっていた。


久しぶりに会った彼は、
痩せ細っていて、マスクと、伸びた前髪で表情が伺えなかった。

気の利いた言葉なんて言えない。
それでも、触れて伝わるものがあるならと、手を伸ばす。

言葉にならない声を、指先で伝える。
ずっと、おもっていたこと。

彼が生きる人生を、
誰よりもそばで支えたい。
どんな苦楽も、彼とだから分かち合いたい。
この命が、尊く、愛おしく
何より、愛し合いたいと思った人だ。


髪に触れると、
俺の手を取り、強く握り返してくれた。


「忘れないでくれてありがとう…」


その一言に、
彼の気持ちが込められていた。 

自分をずっと
待ってくれていたのだと…

ああ、俺は、
いつも自分のことばかりを考えていた。

あの日誓ったことばを胸に

触れてもらった、
手のぬくもりを感じながら
再び、強く決意する。

あの時の気持ちを、
もう、二度と忘れないと


追記


+こころわけ *DIARY*+:(0)







-エムブロ-