知盛の口調ど忘れした状態で書いたダメなチャレンジャー。
義経の妹の廊の御方って創作に使いやすいような気がするー、そんな思い付きから書き出したから話に纏りが無いね。
廊の御方は最近存在が疑われてるけど清盛の娘で八女。
知盛とは確か10歳差。でも遙かの設定のままだと幼過ぎるから、この話では知盛より5つくらい下のイメージ。
外見は、九朗を女の子にした感じです。そのまんま(笑)
続き書けそうな感じだけど、多分書かないかな?悲恋で終る気が凄いするし。
でも設定的には面白いと思うんだよなー。
この部屋の前に立つのも三日振り、か。
貴族の宴などつまらぬが、お父上の言葉なら仕方無い。
「クッ…余程会わせたくないと見える。」
不愉快ではあるが、父のその分かりやすさが滑稽で笑いが込み上げた。
『何か御用ですか。』
俺に気付いた部屋の主の声。分かってはいたが、どうやら此度も機嫌が悪いらしい。
「姫君のご機嫌を伺いに来たのだが、」
そこまで口にした所でスパンと音を立てて障子が開かれた。そこから見える部屋の内は実に殺風景で飾り気という物が無い。
「聞くまでも無いなかった、か…?」
『御覧の通りですね。』
開かれた障子の間に仁王立ちする姿。白地の袴に淡い藍の柄。衣の色味はそれのみで全体的に白い。それを纏う当人の肌も白く、鮮やかな橙の髪が一層鮮やかに映る。その明るい癖毛は高く結い上げられ、遠目には源氏の名代と見紛う姿だ。
「クッ…相変らず、母君は気狂いでいらっしゃるようだ。」
「えぇ。父上と会った事も無い兄上のお、か、げ、で。」
皮肉に喉を鳴らしてやれば、実に不愉快そうに返された。その声は、高い。
男の様な姿をしていようとも、これは女。この男の様な姿は狂い女の狂気を鎮める為の装い。
その血故、父母に疎まれ、その上兄の行動を切欠に母には存在せぬ者と扱われるようになった、哀れな娘だ。
『別に、この装い程度ならば我慢致しますがね。私をアレの代わりにされている事は、不愉快です。』
腕を組み、不満を隠す事無く苦りきった表情。身体全体で己の不機嫌を表す様は面白い。
『で?本当にご機嫌伺いにだけ来られたんですか?』
クツクツと笑っていれば呆れた様な目でこちらを見る女。
「せっかちな事だ…。何、鬱屈しているだろうお前を、遠乗りにでも誘ってやろうと考えてな。」
そう言えば女はくるりと目を丸くし、次いで満面の笑みを浮べ飛び付いて来た。
『本当!?連れてってくれるの、兄様!』
そう、コレは俺の妹。母に常盤御前を、父に平清盛を持つ末姫。
「クッ、余程退屈していたらしいな…?
用意をして来い。」
『ありがとう兄様!』
そう言いながら、女が俺の腰に回す腕の力を強めたのを感じたと同時だった。
「その者から離れよっ!」
不愉快な声が聞こえたのは。
「それを兄などと呼ぶでないわっ!」
続けて女子が易々抱き付くなど端たないと続けた甲高い声に自然と眉間に皺が寄る。
『母上…。』
こんな時でもなければ己を己とも理解しようとしないこれの母。よく我慢する事だ。
「…どうやら、御預けのようだ。」
『また誘って下さいな。』
最後にもう一度、回す腕に力を込めて、その腕を離した。
前回は頬を腫らしていたのだったか…。常盤御前は随分興奮しているようだが、傷が残らねば良いのだがな。
血と兄と母と。身を括るもの