逢魔時奇譚【32話(50)】
「んなっ…?!ななななぁ?!!せせせ聖弥?!あ!貴方は付き合った途端横柄な態度へ豹変する"釣った魚に餌を与えない系男子"ではありませんでしたの?!」
「は?何だよそれ」
「横柄では無く優しいなら優しい方が良いに越した事はないのですけれどっ!!そそそれにしても、こっ、これは優しいというか!まだ早いというか!」
「何?優しくされた方がイーのかよ?」
「そ!それはそうに決まっておりますでしょう?!け!けれど今の貴方の行動は優しいというかそのっ!わたくし達はまだお付き合いをしたばかりですから早いといいますか!!」
「なーんだ。今迄通りでいねぇとダメかと思って今迄通りでいたけど。優しくされてぇなら、そうするわ。つかそっちの方が俺的にも好都合」
「え?それは一体どういう、」
「言っとくけど俺」
「!??」
れいなの口の端に付いている生クリームを指で掬うと…
「ぱくっ、」
「はいぃい?!!」
ーーキモいのですけれどーー!??ーー
そのまま指を舐めた聖弥に、れいなはまるで頭に雷が落ちたかのような衝撃が走った。
「彼女と2人きりの時だけ激甘になるから。周りの奴らには絶てー言うなよ。そこんトコロよろしく、れーちゃん」
「れーちゃんッッ?!!」
ドガァアアン!!またしても雷が落ちたかのような大大大衝撃を受けたれいなが驚愕。その間にも、表情はいつものツッケンドンな聖弥なのだが、ぎゅーっと抱き締めてくる。だかられいなは嬉しいけれどそれよりも彼の良い意味での豹変振りに思考がついていけなくて、赤面しながら彼をぐいぐい押し退けたり蹴ったり。あの手この手で引き剥がそうとするのだがわ男女差があるし体格差があるから全く効果無し。それどころか更にぎゅーっと抱き締めてくる聖弥にれいなは沸騰してしまいそうだ。
「ぎゃーーー!?貴方本当に聖弥ですの?!聖弥の皮をかぶったサタンではありませんこと!?」
「酷っでぇ言い様だな。ンなワケあるかっつーの。つかそれより、監視名目で今迄も同室だったけどよ、これからは気兼ねなく同室でいられるワケだから」
「は、はい?!」
「俺、彼女には朝昼晩最低でも1日3回はハグしねぇと気が済まねーからそこんトコロもよろしく」
「んなぁあ?!そそそんなのッ!!まだ早いで、」
「れーちゃん」
「ぎゃあああーー!?キモいですわ!キモいですの!!これなら今迄のツッケンドン横柄聖弥に戻った方がマシでしてよ!!」
「せっかく付き合えたんだかられーちゃんも呼び方変えろよ」
「絶対嫌ですの!!キモいから早く離れなさい!!このっ…お下劣聖弥ーー!!」
れいなのぎゃあぎゃあ騒ぐ声が響く318号室だった。

その頃…
「う〜ン。隊長あれからLINEの返信はおろか既読も付きませんけれド、何かあったんでしょうカ…?隊長は性格が素直じゃないですかラ、今頃れいちゃんを怒らせてフられていないと良いのですけれド…」
聖弥とれいなが今どうなったのかを知らないロンが自室で1人心配をしながら、聖弥からの返信をハラハラ待つのだった。