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逢魔時奇譚【30話(41)】
カツン…、れいなから離れ、彼女の姿が見えなくなった誰も居ない廊下の角を曲がった直後…。グッ!!力強く両手でガッツポーズ。今迄の平然振りが嘘のように顔は赤面しているし冷や汗がダラダラ流れ出すし、彼らしかぬ笑顔全開。
ーーッシャーー!!やっと"出掛ける"まで漕ぎ着けたー!!ちょっと強引だったか?!まさかバレていねーよな?いや!大丈夫だろ!同期として同じ部隊の隊員として出掛けるっつー感じにしか思ってねーだろ!?何せアイツはポンコツだからな!ーー
1人でテンションが高過ぎて寧ろ別人な聖弥は26日に出掛ける店探しをスマートフォンを使用して早速開始。
「祓本部周辺のキャラメルマキアートのパンが美味い店、店ー…。つーかあいつにデートの予定があったっつーのは、何いつの間に誘っていやがるんだよボンクラぶっ殺されてぇのかっつーくらい相手の野郎がムカつくけど、デートが27日でセーフじゃね!?その前日の26日に俺があいつの気を惹かせれば27日の予定はおジャンになるワケだろ?!ドタキャンされた上、あいつまで盗られて散々だなァ!?ザマァみやがれボンクラ!!何処のどいつだか知らねぇけど、祓エクソシスト史上初の速さ且ーつ!最年少で隊長に昇格したエリートな俺に敵う奴なんていねぇんだよ!ハハハハハハ!!」
誰も居ないのを良い事に、ガッツポーズをして高らかに笑いながら廊下をダッシュで駆け抜けて行く聖弥だった。
「きっめぇ」
一部始終を見て聞いて背後の曲がり角に居たのは碧。聖弥が去ってから顔を覗かせる。酷く嫌そうに顔を歪めて。
「あんなブスにあそこまでガチになるとか、頭イカレてるんじゃねーの?悪魔に弟子入りした上、人間と天使から産まれた堕天使なバケモノのクセに人間様の生活満喫してんじゃねぇっての。早く死ねよ神堂」

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逢魔時奇譚【30話(40)】
顔を上げると、彼を指差した。いつもの勝ち気な表情をして。見上げているけれど見下ろす態度で。
「わ、わたくしは恋い焦がれている殿方と27日にクリスマスおデートを致しますのっ!で、ですから!聖弥とのお出掛けは本番前の予行練習として使ってやりますわ!ですから!27日にわたくしが殿方とのおデートが成功するよう、予行練習に付き合いなさいな!!」
ーーひぇ〜〜!お馬鹿!お馬鹿!!わたくしのお馬鹿ーー!!27日は朝から晩までお暇でしょう!?恋い焦がれる殿方は聖弥でしょう?!なのに昔から、何故か聖弥にはいつもいつも見栄を張ってしまいますの!せっかく!あの!あ!の!性悪ツッケンドン聖弥がわたくしにお出掛けのお誘いをしてくださっているというのに!わたくしは今朝からどうしてこうも素直になれませんの!?今度こそ嫌われてしまいましたわ、きっと…確実に…。あぁ…お祖父様…射手園れいな…一生に一度のチャンスを逃してしまいました…ーー
「了ー解」
「えっ?」
まさかの返答が背後から聞こえたから、振り向くと…
「本番同然の意気込みと気合入った服装して来いよ。絶てー来いよな」
次こそ嫌われた…と思っていたのに。聖弥が真っ直ぐ目を見て力強く言うから、れいなの顔の火照りは最高潮。
「と…、当然でしてよっ!!と、当日はわたくしの可愛さに心打たれ惹かれてもわたくしは、あ、貴方には絶対惹かれませんからね?!な、何せわたくしには恋い焦がれる殿方が居りますからっ!!」
「うぜーうぜー。ま。何処行くかは全部任せとけ。時間は後でLINE送るわ」
「よ、宜しいでしょうっ!!」
背を向けて、左手をヒラヒラ振り、平然とした態度で去って行く聖弥だった。

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逢魔時奇譚【30話(39)】
聖弥はれいなから目を反らすと、口を開く。
「26日。何時から出掛ける?」
「…!?」
まさかの言葉に一度ポカーン…とするれいな。だが、彼の言葉の意味をすぐ理解した途端、顔が全身がカァッと真っ赤に染まり、思わず彼に背を向けてしまった。
「な、何を仰っておりますの貴方は!?26日は中止になりましたでしょう!?それなのに、さも行くような口振りで!!というか、わたくしがお出掛け致しましょうと申したら、貴方が"やだ"と断ったのでしょう?!なのに何を今更!!そ、そもそもアレは"優勝したら"の約束でしょう!?」
「それはお前が一方的にした約束だろ。俺は別に"優勝したら"なんて制限付けてねーし。だから"やだ"っつったんだし。だって優勝できなかったら出掛けられねーじゃん」
「〜〜!!」
『まだ予定が空いているのでしたら…!このトーナメントで優勝したらに、にっ、に26日っ!一緒にお出掛けしませんこと…?!』
『やだ』
聖弥との会話が蘇ると、更に真っ赤になるし冷や汗がダラダラ流れ出すれいな。
ーーそ、そういう意味の"やだ"でしたの!?ーー
いつもツッケンドンな彼らしくない振る舞いに、動揺が止まらないし心臓が破裂してしまいそうだし混乱した頭が沸騰してしまいそうなれいな。下を向いたままくるっ、と聖弥の方を向く。
「…分かりましたわ。では」
「あ?」

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逢魔時奇譚【30話(38)】
「気にしない方が無理ですわ!!聖弥!こんな時こそ貴方の不良振りを発揮なさいな!今からでも遅くはありません!貴方の元学友にビシッ!と言い返して来なさい!!」
「面倒くせぇ。いいっつーの。つーか。ンな事より」
「はい!?」
「サタンの力。またいつ解放するか分かんねーじゃん。なるべく制御できるようにするけど、またさっきみたいな事になるかもしれねーし。だから。お前は俺の事、恐くねーの?」
自分の右目を指差してどこかもの寂しそうに言う聖弥。
「…!そ…、そんなもの恐い筈がありませんでしょう!?わたくしを誰だと思っておいでですの!?わ、わたくしは!偉大なるエクソシストお祖父様の孫娘でしてよ!サタンの力などこ、恐くありませんわ!で、ですからその力を持つ貴方の事も恐くなどございません!…あ。話は変わりますけれど聖弥。23日からの任務の詳細を教えてくださいまして?わたくし予習しておきたく、」
「恐くねーならさ。じゃあ」
「え?」
「26日」
「はい?」

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逢魔時奇譚【30話(37)】
其処には碧が居た。
「祓エクソシスト史上初の超ハイスピードで隊長就任したエリート〜つって豪語してたどっかのだーれかさんが、2試合目でボロカスにやられて敗退とか超笑わせてもらったわー。最近笑ってなかったから、笑いを届けてくれてあざーっすエリートさ〜ん!」
「…ンだよ木更津てめぇ喧嘩吹っ掛けてんのか、」
「うっわ。マジ近寄んなよ。つーか口開くな。こっち見んな。お前のサタンの力が移ったらどうしてくれるんだよ?つーか悪魔臭ぇから消えろよマジで」
「!」
聖弥が拳を握り近付いた途端、碧は汚物を見る眼差しを彼に向けて2歩も3歩も下がる。
「つーか悪魔臭ぇだけじゃなくて、幽霊のニオイもするなー?もしや近くに、蘇生された幽霊も居る感じ?あ〜ヤダヤダ。元帥も甘いよなー。堕天使悪魔野郎に幽霊女を居座らせるとかさ。真人間エクソシストの俺らや祓の空気が汚れるっつーの」
カツン、コツン、わざとらしく鼻を摘み、ケタケタ笑いながら嫌味を言いたいだけ言い捨てて去って行く碧だった。
碧が去った後。聖弥は珍しく平然としている。だが、れいなはイライラ。
「確か聖弥の学友でしたわね?!何ですのあの方は!?由緒正しき祓エクソシストにあるまじき低俗な態度ですわね!それに、誰が幽霊女ですの!もうっ!お祖父様に言いつけましてよ?!」
「気にすんなって。あいつ昔からああだから」
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