タイトルなし

逢魔時奇譚【16話(15)】
「ッはぁー…」
ドスッ、と深い息を吐いて自分もソファーに腰を下ろす。生き返ったれいなだが隣でまだ眠っている。
「っ痛ぇなクソッ」
聖弥の右太腿からドクドク流れる赤黒い血。私服のズボンを太腿まで捲り上げてそれを包帯代わりに傷口にキツく縛って止血する。この傷はいつ誰から受けたモノかというとー…。
『こう、されてもか?』
『え?せ…、い…、や…?』
『お前探り過ぎなんだよ。たかが同期の下等生物人間の分際でよ』
先程聖弥がれいなに密着して、愛武器の巨大十字架をれいなに突き刺し、彼女に密着したまま顔を青くして冷や汗を伝わせて不敵に笑んだ。あの時、聖弥の背後に居たリリスの位置からは、聖弥がれいなを刺したように見えた。2人の足元に血溜まりもできていたし。
しかし、事実は異なる。リリスにれいなを突き刺したように見えるよう聖弥はわざと自分の右太腿を突き刺した。そうすれば血が出る。それにわざとれいなに密着したから、自分の血もれいなに付着する。だから突き刺したように見せた直後、突き刺した側の聖弥の方が顔を青くして冷や汗を流していたのだ。自分で自分を突き刺したから、その痛みによる顔面蒼白と冷や汗。そして、れいなが今に至るまで脈が無くなっていたのも、密着した際、聖弥の能力で彼女を仮死状態にしたから。こうすれば、疑っているリリスにも、れいなをちゃんと殺したと信用させられるから。

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逢魔時奇譚【16話(14)】
その際何と、聖弥の背中右側からだけ白い羽が現れた。それは例えるなら天使の羽。右手から放たれた白い光はやがてれいなを包み込み…。トクン…トクン…止まっていたれいなの心臓が脈が、ゆっくり…ゆっくり動き出した。

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逢魔時奇譚【16話(13)】
丘の麓、廃墟の館ーーーーーー
貴族が暮らしていたであろう廃墟化した洋館。腐った裏扉をドガン!と蹴り壊し中へ侵入した聖弥。室内にある埃だらけのソファーに、脈の無いれいなを横たわらせると、辺りをキョロキョロ見回しながら窓という窓のカーテンを閉じていく。
「…ふー、」
息を吐く。れいなの止まった心臓がある左胸に聖弥が手を翳すと…ポワッ…、聖弥の右手から暖かな白い光が放たれた。

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逢魔時奇譚【16話(12)】
「はッ!分かってねぇな。これだから悪魔はよ。大事な大事な孫娘の無惨な遺体を見せられた老害元帥の哀れな姿を見るのが至福ってもんだろが」
「なるほど」
リリスは顎に手をあてて、「ふむ」と納得の様子。
「それでは」
シュッ!リリスは黒い霧に包まれて消えた。その様を見て「ふぅ…」と息を吐くと、聖弥はれいなを担いだまま聖弥は水溜りの中を足早に駆け降りて行った。

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逢魔時奇譚【16話(11)】
くるっ。れいなを担いだままリリスに背を向けて丘を降りて行こうとした聖弥の真隣にリリスが一瞬で移動。だから聖弥は目を見開き冷や汗をかき、バッ!とリリスに顔を向ける。怖い程無表情なリリスの顔が覗き込んでくるからから、さすがに聖弥も苦笑いだ。
「ンだよ?まだ何か用か」
「いえ。最終チェックです」
そう言ってリリスは、聖弥に担がれているれいなの手を取り脈を取る。
「……」
「…っ、」
この間、聖弥はドクン!ドクン!と冷や汗を頬に一筋伝わらせながらリリスを見る。僅か1分たらずのこの時間が、彼には1時間にも思えた。
「死んでおりますね」
「疑ってんのかよ」
「念の為です」
「あーっそ」
背を向けてまた歩き出す聖弥を、リリスは丘から見下ろす。
「どちらへ向かわれるのですか」
「帰るんだよ。支部にな。こいつの遺体を届けなきゃ邪魔だろ」
「サタン様のコレクションに加えた方が処理の手間が省けると思いますが」
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