タイトルなし

逢魔時奇譚【15話(19)】
「…はッ!ンなワケねぇだろが、あんなうぜぇ雌豚」
「そうか。なら良いのだけれどね。先程から見ていたらどうも聖弥は、僕が思っていた以上に彼女を大切に想っているように見えたからさ」
「…はッ。どこがだよ。12億も生きて老眼になったんじゃねーの」
「そうかな。まあ彼女が聖弥をどう思っているかは分からないけれど」
サタンは聖弥の右目を指差す。眼球スレスレまで近付けて。
「聖弥は自分と仲間のエクソシストを僕に売ってまで、射手園れいなが大切だろう?」
「…!」
聖弥は話題を変える。
「パノケイア女神を殺ったのもアンタか?」
「当然。僕はゲームをしたかったんだそう。エクソシスト共が5名の女神から聖杯を授かる方が先か。ボクが5名の女神全員を殺る方が先か。のゲームをね。聖弥も手加減をしてはいけないよ。ボクに女神を殺られる前に聖杯を授かるよう、本気になるんだ。けれど安心をしてくれ。他のエクソシスト共は女神と一緒に始末をするけれど、僕を怒らせたり裏切らない限りは友人の聖弥には手を下さないからさ。さて。そろそろゲームの時間だ」

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逢魔時奇譚【15話(18)】
「は〜でも、やっぱりエクソシスト共って尽く低能で腰抜けだよね。そう思わないかい?だってたまよ?せっかく京都を陥落させたのにあれ以降エクソシスト共はちーっともボクの城へ近付こうともしないじゃないか!戦闘が無くて毎日退屈で退屈で死んでしまいそうだったんだよ?だから聖弥からもさぁホラ!それとなくエクソシスト共に"サタンぶっ倒しに行きましょうよ!"って言っておいてくれないかい?そうすれば退屈なボクの毎日が少しでも華やぐだろう?人間が誰も近付いてくれないから、ボクの人間生首コレクションも増えないままだし。娯楽が無いと毎日時間の経過が遅く感じて、さすがのボクも参ってしまうね」
「ちょいちょいちょい待ち!」
ペラペラ能弁で止まらなそうなサタンの話。自分の顔を覆う聖弥。
「ん?どうかしたかい」
聖弥は手の指の隙間からサタンを見る。相変わらずニコニコ笑顔のサタンを。
「…分かった。アンタが娯楽を欲するあまり、変装をしているっつー事は」
「分かってくれて嬉しいよ!君はやっぱり他の下等生物とは違うね!」
「けど!だ!何でイギリスの大学生なんだ?しかもよりによって元帥の孫に近付いてる?だってアイツには…って話だった筈だろ」
「ただの気紛れだよ」
「気紛…、おい。ふざけんなよ。じゃあ例の約束は、」
「"よりによって"じゃない。僕からしたら"だからこそ"なんだ。元帥の孫だから近付いたんだ」
サタンは立ち上がると、テーブルを挟んで向かい側のソファーに腰掛ける聖弥の顔面前に、前のめりになってニッコリ満面の笑みを近付けた。
「どうせ殺るなら何の印も無い下等生物より、元帥の孫を殺った方がエクソシスト共の反応が楽しめるだろう?」
「…っ!」
「話?例の約束?聖弥。僕は悪魔だよ。悪魔が君のような下等生物人間との約束を守ると本気で思っていたの?アハハ。可愛いところもあるね聖弥。ねぇ聖弥。まさか彼女だけは見逃してくれ、なんて思っていないよね?」
「…!!」

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逢魔時奇譚【15話(17)】
「サタン」
眼鏡を外すと顕になったのは、渦を巻いた右目と魔法陣が描かれた左目。彼ビアンキは偽名で変装で、ビアンキの正体は人間の学生に紛れ込んだサタンだ。
「アンタが現れた時、心底驚いたぜ。まさかアンタが人間に取り憑かねぇで、陳腐な変装して偽名を名乗って人間の学生に紛れ込んでたなんてな。アンタが邪気を消しているせいもあってか、ポンコツ共は全員誰1人としてアンタに気付いていねぇけどな」
「ふふふ。陳腐な、は余計だよ聖弥」
「けどよ」
「ん?」
「何でまた変装して潜り込むなんて事をしたんだ?アンタは京都で一度、エクソシスト共に姿を明かしている。俺はアンタに通達した筈だ。"御子柴に生気を吸い取られた死に損ない共を復活させる為、俺はイギリス任務を任された。この任務にはアドラメレク憑き、妹、尼子寺の長男坊も来る"ってな。なら、アンタの顔を知ってて尚且つ声も知っている奴らが来るイギリスへどうして変装だけでやって来たんだ」
「簡単だよ。意図は」
「意図…は…?」
「毎日退屈だし誰かに憑依するのも飽きたし、何か面白い事ないかなぁって話したらリリスが"じゃあ人間に変装したらどうです?"って提案してくれたから!それだけだよ!」
「…は?!」
サタンの"意図"に、聖弥は拍子抜け。
「ちょ…、退屈ってアンタなぁ!」
「9年間も人間の雌に取り憑いたから流石に憑依は飽きちゃってね〜。最初は"えっ。変装?つまんなそう〜"と思ったのだけれど、やってみたら意外とコレが楽しいんだ!ましてやエクソシスト元帥の孫娘エクソシストに近付いたし、大学の近くにはイギリス支部があって街中エクソシストがうじゃうじゃ居るだろう?だからエクソシスト共にバレるか?バレないか?のこのスリルが溜まらなく楽しいんだよね〜!ま。下等生物人間共は低能だから誰1人としてボクの素性に気付かないのだけれどね〜」
「あっ。1人気づいたね。君だ!聖弥!おめでとう!」
「あざまーす…」

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逢魔時奇譚【15話(16)】
「!!」
呟いた聖弥に、「ハッ!」としたれいなは怒る。
「誰がですの!?」
「お前とその人」
「完璧なわたくしと落ちこぼれビアンキを同等に扱わないでくださる?!」
ギャアギャア煩いれいなと聖弥を、ビアンキは眼鏡の分厚いレンズ越しからジッ…と見つめていた。

18時、寄宿舎3階、聖弥の部屋ーーー
「…で」
暖色のシャンデリアだけの仄暗い室内。室内のカーテンを閉める聖弥。
「何でまた変装なんてして人間の中に潜り込んでんだよアンタともあろう方が」
聖弥の視線の先には、不敵な笑みを浮かべているビアンキ。

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逢魔時奇譚【15話(15)】
「…?」
しかし霊感があまり無い奏には、神の声しか聞こえない。その為、パノケイアの姿も血も見えないから奏だけ首を傾げていた。
「う"っ…!」
口を手で押さえて顔面蒼白になり俯いたれいな。
「こんな事をするのは悪魔の所業以外有り得ない!取り敢えず一旦帰ろう!本来なら、女神パノケイアにこんな仕打ちをした愚か者悪魔を祓魔したい!けれど今私達のやるべき事はヨコタ隊長達の回復だ!それには時間が無い!女神パノケイアの事は他のエクソシストに任せて、私達は一旦戻り、ヨコタ隊長達の回復をさせる策を再び練り直そう!」
ハンソンは毅然とした声ではあるが、顔は真っ青だ。
「…ぎじゃねぇの」
教会を出る際。聖弥が何かを呟いていたが、内容までは聞こえず。しかし確実に彼が何かを呟いていた事を、奏だけはしっかりと聞いていた。
「……」

英国国立大学、寄宿舎ーーーーーー
正面玄関から真っ直ぐに伸びる長く広い階段踊り場の手摺からこちらを見下ろす1人の学生。短髪で牛乳瓶の底のように分厚いレンズでレンズの向こうの瞳が見えない…そんな大きな黒縁眼鏡をかけて、英国国立大学の制服を着ている。オドオドしていて挙動不審でいかにも引っ込み思案な少年。
「彼はつい先日わたくしのクラスに転入してきた転入生、ビアンキ・ブランキ。同い年ですわ」
「ボ、ボクなんかを紹介してくださり、あ、ありがとうございすれいなサン〜
!」
「っ…!」
少年ビアンキを見上げた聖弥だけが目を見開き、ギュッ…!と唇を噛み締めていた。
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