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逢魔時奇譚【13話(19)】
「神堂由輝でーす!今日は美香ぽんと一緒にハラエの商店街を散策しますにゃん?」
「あ〜〜ゆきにゃん可愛いよ、ゆきにゃん!ゆきにゃんのお手々柔かったなぁ〜。ゆきにゃん今頃何しているのかなぁ〜?ぼくの事を考えているはずだよねっ!そうだ!それに違いないっ!」
知らないアカウントから送られてきたDMに添付されている写真。そこには、誰が撮ったのか、逢魔時高等学校の制服を着た奏と由輝が下校している姿。
「があああああああ!!」
ビリッ!ビリッ!HRE26のCDを割り、由輝のポスターをビリビリに破いていく。室内には無惨な姿と化した由輝のグッズが散乱。その中に立っている和夫は、俯いたまま怒りに身体を震わせる。
「…さない…、許さないぞ…!ゆきにゃんは裏切った…!ぼくだけの、ゆきにゃんなのに…!あの魔女め…!あのガキ…!確かぼくの前でゆきにゃんと握手していた奴だよなぁ…!?なら…、」
ユラァ…、と揺れた和夫の目が赤く光る。和夫の背後に渦を巻いた巨大なワニの姿をした悪魔レヴィアタンが憑いていた。
「このぼくを騙した貴様ら2人に天罰を下してやる…!!」

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逢魔時奇譚【13話(18)】
同時刻、ハラエ区のとある平屋ーーー
「和夫ー。ご飯。食べなくて良いのかい?」
「うるせぇ!話し掛けんな汚ねぇババァ!」
1階から2階の息子を呼ぶ年老いた母の優しさにも凶暴な振る舞いの息子。一方、息子は2階の自室。酒の空き缶やお菓子やパンの袋が散乱して足の踏み場も無い、ゴミ屋敷状態。天井から壁一面に貼り巡らされているのは、神堂由輝のポスター。シーツも抱き枕も、写真集も神堂由輝。CDはHRE26がメジャーデビューする前から最新の物までを網羅。
「グフッ!グフフ!」
ノート型パソコンで、HRE26がローカル番組に出演した際、神堂由輝が出ている場面ばかりを繰り返し鑑賞。この男性は、昼間握手会で奏の後に来ていた由輝の古参ファン。【斉藤 和夫】31歳。無職で親の金で由輝に注ぎ込んでいる。
「あ〜〜ゆきにゃん可愛いよ、ゆきにゃん!」

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逢魔時奇譚【13話(17)】
「…何かさっ。帰り道さっ」
「…?」
「誰かにつけられてたっぽいんだよな。見えない角ですぐバトルスーツに変身してシューズで屋根伝いに逃げてきたけど。とりま、HRE26劇場から出てからずっと変装はしてたけど神堂由輝のままだったし」
「……」
「まー不人気アイドルなんかをストーカーする程の熱狂的ファンは居ねぇと思うから、尾行されてたかも?っつーのはアタシの自意識過剰だろうけどな〜」
「……」
「まあ!お前は父さんと母さんの仇だし!?悪魔憑きだし!?アタシが最後はお前を今度こそぶっ殺すし!?だからお前にはアタシへの償いしてもらわねぇと困るし!?…本トは今日の帰り道ちょい恐かったからさっ。明日からお前に送り迎えしてほしいんだけどよっ…」
「…うん…。…うん…。うん…」
天音の顔が見れなくて下を向いて耳まで真っ赤にしてコクコクひたすら縦に頷く奏と、同じように下を向いて耳まで真っ赤にしている天音だった。…そんな2人を、脱衣場の陰から覗いているのは10分前からとっくに風呂を上がったというのに、タオルを体に巻いた状態のままリビングへ行けない天人。
ーー天人クンめたんこ場違いで、今出て行ったら確実にKYだから出て行けないーーー!!のに、服、リビングに置きっぱだったーー!!ーー
その晩、天人は何十回もくしゃみをしていたそうなー…。

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逢魔時奇譚【13話(16)】
逢魔時町マンション、427号室ーーー
「♪ふんふふ〜ん♪」
入浴中の天人。バスルームから聞こえる天人の陽気な鼻歌。一方、リビングでは、横田から渡された"エクソシストの戦い方下級編"を正座をして真剣に読んでいて話し掛け辛い雰囲気の奏…を、テレビを見る振りをしながらチラチラ横目で見て、話し掛ける機会を伺っている天音。
「…あ、あのさっ眼帯」
「♪ふんふふふんふ〜〜んはんははぁーーよいよいっ♪」
「だああああ!!鼻歌うるせぇえええ!!」
ダァアン!!リビングダイニングまで聞こえる天人の大きな鼻歌に、天音がテーブルを叩いた。
「ごっめーん!ちゃんあまー!俺の美声に感動させちゃったー!?」
「クソボイスで耳が腐るかと思ったわ!!」
バスルームの扉越しに聞こえた天人の軽い謝罪にイライラしながら胡座で座る天音。
「きょ…、今日はそのっ、握手会来てくれて…えっと!ありがと…なっ!」
「…昼間…聞いたし…」
「あァ!?てめぇ!!アイドル様がファンに礼を言ってやってんだぞ!?ありがたく思いやがれ!!」
「…うわぁ…。上から目線系…アイドル…?」
「ンだと!?…ま、まあ。その。さ!」
天音は自分の髪をくしゃくしゃ掻くと、また目を反らす。口を尖らせて。
「握手券…11枚…もか、買われると…逆に申し訳ねぇっ…つーかよ!たかが握手してちょいと喋ってで1枚500円もするだろ?…ってアタシが言うのもアレだけどよ。そ!そんな事しなくたって…別に…うん…。まあ、その…何つーか…」
「……。券が…売れた分…アンタの人気に…繋がる…から…。…ってだけ…。だから…気にしないで…」
「お、おう。そ、そっか。サンキューなっ」
「…うん…」

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逢魔時奇譚【13話(15)】
「そうすりゃ200%になるだろ?」
キィン!聖剣を繰り出して不敵にニヤリ笑う天音に、天人は苦笑い。
「っ〜〜、手加減おねしゃすっ…!」
「アタシが、ンなのできるワケねーだろが!」
ドガァアアン!!
「ふぎゃああああ?!」
避ける間も無く思い切り吹き飛ばされた天人だった。
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