タイトルなし

逢魔時奇譚【22話(46)】
「先月の任務だったか」
「えっ?」
珍しく聖弥から話し出す。
「うちの隊と青野隊の合同任務でさ。そん時じゃね?分っかんねーけど。今思えばその後からだな。下級エクソシストの給料じゃ絶てー買えねぇだろっつーアクセ付けまくり出してよ。外出もしなくなったし学校でも話さねーし。…って。何でお前にこんな事話してんだろ」
「……。では見返してやりますわよ!!」
「はぁ?」
ガッツポーズをしてやる気満々なれいなに、聖弥はテーブルに顎を乗せた低い姿勢になる。
「聖弥も隊長になってたくさんお金を稼いで、美園さんを見返してやるのですわ!」
「別にイーし。あんな銭ゲバ女もうどうだってイーんだよ」
「では隊長にはなりたくはありませんの?」

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逢魔時奇譚【22話(45)】
バシッ!本日2回目の本叩き。
「痛いっ!!分かりましたわ!女性であろうと構わないその暴力的なところですわ!」
「ギャアギャアうるせーよ。何つったか。青野っつー隊長とデキてたクセぇな」
聖弥はペン回しをしながら話し出す。
「青野隊長ですの?し、失礼ですが50代の殿方でして?」
「よく言うじゃん。最近の女って自分の親父くらいの男とっ捕まえて、何でもかんでも好きなモン貢がせるっつー。典型的なアレじゃね。つか青野って金に物言わせて若い女食いまくってるっつー噂があるクソド変態ジジィだしな」
「聖弥はビンボーですものね」
「ビンボー言うな」
机に伏してしまう聖弥が珍しく静かだし寂しそうだから、れいなの胸がキュッ…と痛む。
ーー聖弥が悲しんでいるというのに、喜んでしまったわたくしは悪魔と等しい最低な人間ですわ…ーー

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逢魔時奇譚【22話(44)】
2年後。高校3年生となった2人。
祓本部13階、図書室ーーーーーー
「えっ!聖弥、フられましたの?!」
バシッ!眼鏡をかけたれいなの頭を、眼鏡をかけた聖弥が分厚い本で叩く。
「痛いですわ!!」
「バッカ。声でけーよポンコツ雑魚」
エクソシストの傍ら高校生でもある2人は、非番の今日図書室でテスト勉強中。テーブルには2人の他、新人エクソシストが書物を見ながら悪魔について必死に勉強をしている。聖弥はカリカリとペンをノートへ走らせて勉強モードだ。そんな彼を、手が止まったれいなはポカーン…と見ている。体勢を低くすると口に手を添えてヒソヒソ話し出す。
「原因は何ですの?!貴方の横暴で悪い言葉遣いでして?!それともその最低な性格でして?!」

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逢魔時奇譚【22話(43)】
れいなは満足気な笑顔を浮かべて、彼を見上げた。指切りをした右手小指を突き出して。
「約束!完了ですわ!」
「……。ま。生まれ変わったらとか、いっぺん死んでからっつー遠い話だしな。どーせ死んだら蘇りも生まれ変わる事もできねーんだ。果たせねぇ無意味な約束ならいくらしたって、しねぇのと一緒か」
指切りをした自分の小指を眺めながら呟くと、宿舎棟へ去って行く聖弥だった。
聖弥が居なくなった途端、顔を真っ赤にするれいな。右手の小指を押さえながらドキドキが止まらない。
「お父様とお祖父様以外の殿方と指を絡めてしまいましたわ…!こんなお下品な行為は射手園家の恥でしてよ!しっかりなさいれいな!…けれど、やっぱり殿方の手は大きくてがっしりしておりますのね…って!」
パシン!!自分で自分の頬を叩いた。
「ですから何をやっておりますのれいな!!しっかりなさい!!もう聖弥を諦めて美園さんとの幸せを願い!わたくしはエクソシストとして一人前になると誓いましたでしょう!?」
自分で自分を怒りながらパタパタと廊下を駆けて行く中、まだ薄ら人の体温が残る右手小指を左手で押さえているれいなだった。

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逢魔時奇譚【22話(42)】
立ち止まり振り向いたれいなは寂しそうな表情。
「次、わたくしが生まれ変わった時は一緒に遊びに行くと約束してくれまして?」
「……。何で生まれ変わったらっつー壮大な話になってるんだよ」
「だって貴方には恋人が居りますでしょう。そうなれば今世では恋人以外の女性とは外出できませんのよ。ですから来世での約束になりましてよ」
「…話がダイナミック過ぎて意味不明だわ…」
頭を抱える聖弥の前に、れいなの小さい右手小指が差し出される。れいなはニッコリ笑った。
「指切りげんまん。ですわ!」
「……」
カツン、コツン、れいなの脇を通り過ぎて行く聖弥の右手を背後から…
「えいっ!」
キュッ!
「おまっ?!ちょ、」
掴み、強制的に指切りげんまんをしたれいな。
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