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逢魔時奇譚【32.5話(9)】
「青野隊長レベルのはしたお金程度など、名家射手園家のわたくしの1ヶ月のお小遣いにも満たしませんのよ?ですから青野隊長や他の殿方へ金銭目的でお付き合いなど絶対致しません。ご両親を亡くし孤児となり孤児院出身の貴方がどれだけビンボーかも分かっていてもわたくしは貴方に惹かれましたのよ?それに、わたくしは貴方に7年間もずぅっと片想いをしておりましたの。早々嫌いになどなれる筈がありませんでしょう?貴方がわたくしを嫌いになってもわたくしは早々貴方を嫌いにはなれませんの。残念でしたわね、わたくしからはもう離れられませんわ。わたくしの我儘にずぅっとお付き合いして頂きましてよ?覚悟なさい、せー君」
頬を赤らめながら、初めての呼び方をしてそう言ったれいなを聖弥はキョトン…としばらく見つめてから…ぎゅーーー!
「ぎゃあ?!やっぱりこうなりますの!?」
「やっと呼び方変えたな」
「だ、だって貴方がそうしろと仰るから!」
「つか、なーにほざいてんだよ。俺がれーちゃんを嫌いになる?ワケねーだろ。覚悟しろ?上等だろ、一生我儘に付き合ってやるし」
「も、もうっ!そそそのようなお恥ずかしい事を恥ずかしげも無く申すのはおやめなさいっ!」
「何でだよ?付き合ってンだからイーじゃん」
「で、ですけれどわたくしは貴方が初めてですから恥ずかしいのですわ!!」
「あー。そうだったな。れーちゃん初めてだもんな。んじゃあ銭ゲバ浮気女に今度またあんな事言われねーように、キスくらいしとくか」
「ふえっえ?!手が早いのではっ?!ややややっぱり、せー君貴方は女性なら誰でも宜しくって!?」
「は?何言ってんだよ。れーちゃんを好きだからしたいんだろ」
「ふえっ…」
「けどれーちゃんは付き合うのも初めてだから、まだ無理っつーんならしねーから。ぶっちゃけ無理だろ?キスっつったられーちゃんかなりキョドってたし」
「ご、ごめんなさい…。けれど!決して貴方をどうこうという理由ではありませんのよ?ただ緊張をしてしまって心の準備ができていないからですの!ですから、準備ができるまで、恋人らしい事は待ってくださる…?」
「トーゼンだろ。れーちゃんと居れるだけでイーし」
「ありがとう聖弥」
「違くね?」
「うっ…。あ、ありがとう…せ…、せ…、せー君」
「オッケー」
「うぅ…」
ーー聖弥と仲睦まじい恋人になる事が7年もの間ずっと夢でしたけれど…けれど!いざ恋人になり尚且つ聖弥が別人のように優しいと、恥ずかしくて顔から火を噴きそうですわ…!!ーー

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逢魔時奇譚【32.5話(8)】
「じゃあね。偏差値19聖弥君💖魅力ゼロれいな様💖」
「後で三森てめぇのロッカーに大量のドリアン詰め込んでおくからな」
「みみみ魅力が無いなんて仰るのは失礼でしてよ!?」

それから。美園と小梅と別れ、喫茶店を後にした非番の2人は廊下を歩く。
ーーうぅ〜!美園さんはどこまで意地悪ですの?!あれで悪魔が憑いていないのですから、あの方は正真正銘の悪女ですわ!…と、というか美園さんが先程仰っていた事は本当ですの?!告白やデートの仕方をロンへ聞いていたので聖弥は案外奥手だと思っていましたのに、美園さんとはお付き合いをして早々にっ…!!べべ別にわたくしは聖弥とはこうして話したりお出掛けをしたりプラトニックな恋愛のままでいたいですけれどっ!け、けれどっ…!わ、わたくしにはまだキ、キスもしないのですからやはり美園さんと違ってわたくしには魅力がございませんの…?うぅっ…。こんな事を考えるなんてお下劣でしてよわたくし…!ーー
「あのさ、れーちゃん」
「また始まりまして?!」
2人きりになった途端、呼び方が変わり優しい声色に変わった聖弥にれいなはやはりまだ慣れなくてドキッ!としてしまう。しかし聖弥は部屋で2人きりの時のようなデレデレではなく、少し寂しそうな顔で前を見ている。れいなからは目を反らしていた。
「俺の嫌なところあったら遠慮しねーですぐ言えよな。直すから。それと、俺の事嫌になったり他の奴を好きになった時は素直にすぐ話せよ。嫌になったんなら直すように努力するし、まあ他の奴を好きになった時はもうどうする事もできねぇからそん時は応援するし。嫌になった時は素直に打ち明けてくれれば俺は引き留めねーから。だからこっそり隠れて他の奴と付き合ったりだけは絶対すんなよな」
「……」
『何つったか。青野っつー隊長とデキてたクセぇな。よく言うじゃん。最近の女って自分の親父くらいの男とっ捕まえて、何でもかんでも好きなモン貢がせるっつー。典型的なアレじゃね。つか青野って金に物言わせて若い女食いまくってるっつー噂があるクソド変態ジジィだしな。先月の任務だったか。うちの隊と青野隊の合同任務でさ。そん時じゃね?分っかんねーけど。今思えばその後からだな下級エクソシストの給料じゃ絶てー買えねぇだろっつーアクセ付けまくり出してよ。外出もしなくなったし学校でも話さねーし』
1年前。図書室で寂しそうに話していた聖弥の顔がれいなの脳裏を過った。彼は美園の名こそ出さないが、相当悲しかったのだろうな…とれいなの胸がズキッ…と痛む。
「貴方には、金銭目的且つ、恋人が居るにも関わらず他の殿方へ現を抜かすお下品な女性と同等にわたくしが見えておりますのね。心外ですわ」
「!」

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逢魔時奇譚【32.5話(7)】
「ンだよ。飯が不味くなるから席移動しやがれ」
「それはこっちの台詞なんだけれど?私達が先に着いていたのだから、席を移動するべきなのは聖弥君達の方でしょう?そんな事も分からないなんて聖弥君貴方は本っ当、図体だけ成長した脳味噌小学生君みたいねェ?」
「うっせぇんだよ。口開くな銭ゲバ浮気女」
「そっちこそ口を開かないでくれる?サタンの力が移ったらどうしてくれるの不良偏差値20男」
「せ、聖弥…喧嘩を売るのはおやめなさい…」
嫌そうに顔を歪めて火花がバチバチ散る聖弥と美園の脇で、小梅は目をキラキラ輝かせて1人で興奮。
「隊長ぉーー!れいちゃんとティータイムデートですか?!ティータイムデートなんですねっ?!」
「あ?うっぜぇな。てめぇも口開くな静かにしやがれ城ヶ崎」
「ティータイムデートをお邪魔したくないんで私達が席を移動しまっす!!2人で仲良くゆっくりどーぞ!!」
「ちょ?!ダメよ城ヶ崎さん!先に居た私達がどうして移動をしなきゃいけないの!?移動をしたら偏差値20男の思う壺でしょう!?ここは何が何でも移動してはいけないわ!例え悪魔が襲撃に来ようとも!絶ッッ対にね!」
「そん時は移動しろよ」

とか何とか言いながらも、聖弥の隣へソファー伝いに移動して座ってきた美園。
「は?来んじゃねーよ銭ゲバ」
「うるさいわよ偏差値20」
「19だし」
「なら尚更悪いじゃない。ねぇ。そんな事より、2人は今も同じ部屋なの?」
「ポンコツが俺の監視役を元帥から任されているんだから当然だろーが」
「ふふ。またまた。そうやってかこつけて。れいな様、一つお尋ねします」
「は、はい。何ですの美園さん?」
「おい、れいな。こいつと口きくんじゃねーぞ。性悪が移るからな」
「聖弥そんな言い方はおやめなさい!」
「れいな様も大変ですよね。普段はこーんな風にクールを気取っている聖弥君ですけれど。聖弥君とだと大変でしょう?」
「えっ…と?何がですの?」
「ふふ。はぐらかしちゃって。アレですよ、アーレ」
「アレ…とは?」
美園はドス黒い笑顔を浮かべた。
「聖弥君は夜全然寝かせてくれませんから大変ですよねっ?💖」
「ブーーッ!!」
美園の言葉に、聖弥はコーヒーを、れいなはキャラメルマキアートを同時に噴水のように噴き出してしまった。怒り爆発寸前の聖弥と、赤面と冷や汗ダラダラのれいなと、悪魔も裸足で逃げ出すドス黒い笑顔の美園と、会話についていけずハテナを浮かべ首を傾げる小梅。
「この前のLINEから調子に乗り過ぎなんだよざけんじゃねぇぞ三森てめぇ!!れいなの前でそういう事ほざくんじゃねぇ!コイツをてめぇみたいな銭ゲバ性悪女と一緒にすんなボケ!!」
「公衆の面前ではこんなですけれど、この人2人きりになると凄い変貌振りですよね〜。特にアレの時とか猫撫で声で別人過ぎて、うっわ何コイツマジキモいんですけどってドン引きしますよねっ💖」
「みみみ美園さんっ?!わたくしと聖弥はそっ、そのようなお下劣な事を致す関係ではございませんのよっ!?」
「えっ。まだなんですかー?れいな様大事にされてますねー。私の時なんて付き合って早々にやる事やったのになぁ。あっ。じゃあれいな様は大事にされているワケじゃなくて、ただ単に魅力が無いから聖弥君に放っておかれているだけなんですかね?💖」
「ガーン!!」
「違げぇ!!つか、三森いい加減黙れ!口縫うぞてめぇ!!」
ーー隊長がれいちゃんを夜全然寝かせてくれないってどういう意味かしら?徹夜でゲームばかりで寝かせてくれないって意味?ーー

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逢魔時奇譚【32.5話(6)】
「れーちゃん分かってくれてマジサンキューーー!!」
「ぎゃーー!?ででですから!これ以上ぎゅーはおやめなさいと申しましたでしょう!?」
「れーちゃん可愛い可愛い超可愛いーー!!💖」
「キモいから早急におやめなさいー!!聖弥貴方が美園さんにフラレた理由が分かりましたわ!!2人きりになるとド級のキモさですから貴方はフラレましたのよー!!」
「キモいなんてれーちゃんから言われると傷付くから言うんじゃねぇよ殺すぞ💖」
「語尾の"💖"を取り除きなさいーー!!」

祓本部15階、廊下ーーーーー
「チッ。明日迄に書類提出だ?クソうぜぇ。エクソシストなら実戦だけが物を言うんだから書類なんざ無意味だろーが」
ーー一歩部屋を出ただけで今迄通りの聖弥に切り替わりますのね…。まるで二重人格のようですわ…ーー
全く二重人格ではないのだが、そう思えてしまう程切り替えの早い聖弥は今迄通りのツッケンドンに早替わり。今迄の猫撫で声も低くボイスチェンジだから、彼の隣を苦笑いを浮かべながら歩くれいなだった。
「あー面倒くせー面倒くせー。ようやく学生が終わって提出物地獄から解放されたと思ったっつーのに、学生が終わっても提出物地獄かよクソが」
スタスタ先を歩いて行く聖弥の後を追い掛けていると…
「眼帯ーーっ!💖」
「…は…、恥ずかしいから…。…だ、誰かに見られるかも…しれないよ…」
廊下奥では、別人かというくらい猫撫で声の天音が奏にべったり抱き付いている光景を目撃したれいなの視線を感じて、見られていた事にようやく気付いた天音は真っ赤な顔で大慌て。
「…ハッ!」
「…ほら…だから言った…じゃん…」
「みみみ見るんじゃねーよっ!!」
ーー恋人の前では別人なところは兄妹揃って同じですのね…ーー
全く同じ聖弥と天音の兄妹に妙に納得してしまうれいなだった。

喫茶店ーーーーー
「あ」
本部内の喫茶店内へ入り、店員に案内された席へ2人が着いた瞬間4人分の声が重なった。自然と見合わせた4人それは聖弥とれいな、その隣の席で既にティータイムを満喫していた美園と小梅。ばったり鉢合わせ。

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逢魔時奇譚【32.5話(5)】
祓本部、宿舎棟318号室ーーーーー
「マジでごめん!!」
顔の前でパンッ!と合掌し、深々頭を下げて謝罪する聖弥。皆の前での先程の彼とは別人か?というくらい声色も雰囲気もとびきり優しい。だがれいなは彼がそういう人間なのだという事をつい先日知ったから、もう驚愕はしない。まだ慣れてはいないけれど。ぎゅーーっ!と抱き締めてくる聖弥。
「さっきはあんな事言って本ッットごめん!マジごめん!!」
「ぎゃーっ?!苦しいですの!力加減なさいお馬鹿ー!!」
「あんな事本当は1ミリも思ってねーから!あれ全部嘘だから!あいつらの前では今迄通りの俺で振る舞うけど、これからはあいつらの前で俺が言った事全部嘘だと思って聞き流せよな?あいつらの前で俺が2人きりの時と同じキャラでいられねぇのは、れーちゃんなら分かってくれるだろ?」
「分かりました分かりましたわ!貴方がそういう殿方だという事は、産まれてから最大級の衝撃でしたけれど、それはもう充分分かりましたから!いい加減くっつくのはおやめなさいお馬鹿さん!」
「うっせーな殺すぞ💖」
「暴言なのに今迄とは全く違って言葉に圧力がありませんわ?!」
暴言だがにっこりデレデレな笑顔で言われて、ゾワッ!と鳥肌がたつれいな。
「そうだ!さっきの詫びにカフェ行こうぜ!れーちゃんの好きなキャラメルマキアート奢ってやるから!」
「奢ってやる、って貴方言い方…」
「キャラメルマキアートパンもケーキも、れーちゃんが食いてぇモン何でも頼んで良いからな💖」
「あ、ありがとう聖弥…」
「さっきので、嫌いになんなよ?!」
「なりませんわ…。貴方は人前では今迄通りの聖弥で。わたくしと2人きりの時はこのような感じの聖弥。なのでしょう?」
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