退院編 創作小説

?朝、綺月は目が覚めるとシェリーを抱える格好になっていた
(健全な男子ならこのまま…てとこだな)
綺月はそう思いつつ起き上がる
すると枕元にプレゼントがあった
(うっ!これは!?
そうか、今年も来てしまったか、そうだな、18歳は随分前に通り越して1万歳だ。
しかし私は…)
この世界のサンタさんは基本17歳までプレゼントを贈ってくれる。
18歳以上の場合は大人の未経験者のみプレゼントを贈るのだ。
つまり18歳以上かつ経験済みの者にはプレゼントは配られない。
綺月は…1万歳だが誰とも結ばれたことがない
故に。
「はあ。」
思わずため息をつく。

「ん、どうしたの綺月?」
「シェリー!あっ、えと」
プレゼントを思わず後ろに隠す
「何隠したの?…あっ!昨日クリスマスだったよね!」
「うっ!」
「サンタさんからのプレゼント!?
いいなあ!見せてよ!」
「シェリー…」
は来てないのかって聞きそうになったが慌てて黙る
シェリーはもう経験済みだ、サンタさんからのプレゼントは無い

「退院…してからな」
綺月はサンタさんの手紙をシェリーを見せる

"親愛なる綺月様
プレゼントは退院してから開けてください
サンタ"

「退院…いつくらいになるかな?」
「今日か明日くらいで帰れるだろ」
綺月は微笑む
「うん、だといいね」
シェリーは綺月を見、そしてサンタからのプレゼントを見る

(綺月、ほんとに恋人とかいたことないんだ…すごく美人だし、優しいのに…
もしかして釣り合う人がいなかったのかな
それだと僕は…)

綺月に釣り合ってるだろうか、
シェリーはふと不安になる


雪は今も静かに降っている…


続く…予定





消えた思い出の写真 退院編

?そうルナが言うと黒い渦が彼の中心を舞い出し、
やがて跡形もなく消えた

「何だったんだ…
とりあえず杖は…シェリーに見られると面倒だな
…杖よ、私が呼ぶまで消えていろ」
ふっと杖が消える

「さて、シェリーを呼ぶか」


その頃シェリーは…憩いの場でジュースを買い、椅子に座って机で待っていた
「綺月…」
こういう暇なときはついスクリーンや本を見るのだがそんな気分でもない
綺月のことが気になるのだ

突如、スクリーンが目の前に現れる
そこに綺月が写っている

「綺月!」
「すまない、待たせたな、もう戻ってきていいぞ」
「うん!戻る!」

シェリーはすぐにジュースを持ったまま綺月の病室に向かう


「綺月!」
病室に行き、綺月の顔を見てシェリーは安心する
が、
「綺月、何かあった?」
ふと、向かいにあった病人のベッドが消えていることに気づく
綺月の顔も先より少し青い気がする
「ああ、向かいの方は退院されて、個室になったようだ
この病院は自由空間型だからな。
アプリから病院の異空間物置き場に色々物を置けたりする。
空間の出現や消去ができないような旧式ではない」

「他は?何か無かった?」
「いや」
綺月は言う
「そっか…」
しかしシェリーは何か違和感を感じる
それに闇の魔法のにおいもかすかににおうような…

「綺月、今日僕、この部屋に泊まるね」
「ああ、そこに泊まり用の簡易ベッドもある」
「あ、うん!」
シェリーは少し寂しい気持ちになる
一緒に布団の中で寝ることを期待していたのだ

「綺月、身体はどう?まだ動かしづらい?」
「いや、トマトジュースのおかげでかなり動かしやすくなった。有難う」
「そっか、良かった」
シェリーは綺月の布団に入っていく
「シェリー!?」
「えへへ。両想いだもん
これくらい、いいでしょ」

「シェリー」
綺月の青白い美しい顔がほのかに紅に染まる

「お休み、綺月」
ちゅ、とシェリーは綺月にキスをして眠りに入る
突然のことに硬直してしまった綺月をさしおいて


窓の外からかすかなジングルベルの音が聞こえる



iPhoneから送信

消えた思い出の写真

「シェリー、少し一人になりたくて…私がまた呼ぶまで休憩室で待っていてくれないか」
「えっ!?あっ、うん…分かった…!」
そう言いつつシェリーは少し悲しい顔つきになる
「私も離れたくないが」
ぎゅ、と膝に抱えているシェリーを寄せる
「綺月…好き」
シェリーもくっつく
しばらくして綺月は少しシェリーを抱えている腕を少しずつ離す
シェリーも動き、綺月の側から離れる
「待ってるね!」
「ああ」
お互い会話をし、シェリーは病室を後にする


……

「で、何を覗き見してるんだ、悪趣味の大魔法使い、ルナ?ダークネス!」
黒い渦がごおおとベッドにいる綺月の前に現れる
やがて渦は収まり、そこに一人の美しい男が現れる
髪は白銀髪、色白で鋭く長く切れた目が印象的だ

「私がいること、よく分かったね」
ルナ?ダークネスは言う

「お前の嫌な魔法のにおいくらい魔力を奪われても分かるさ!それに…」
「それに?」

「…ここは個室だ」
「おや、そうだったね」

ルナは真っ黒な魔法の杖を振る。
すると向かいにあったもう一人の病人のいた空間部分が消える

「改めて。お久しぶり
ジュエリア国王綺月…いや煌月陛下」
むす、と不快な顔を綺月はする

「で、お前、何しに来たんだ?
言っておくが私は魔力は奪われても相手や物を従わせる能力はまだ残ってるからな」
「おお、恐ろしい」
わざとらしくルナは言う

「いやね、前から何とはなしに君を気にかけていたんだよ
ただ、最近面白いことになってきたな、って」

「面白いこと?」
綺月は訝しげにきく

「人外は大抵、大人のみけいけんの者が好きなものさ!リング状線のままの子がね」

綺月は一瞬驚き、すぐに怪訝な顔になった

「人外は大抵、人間の血を好んで飲むからね
ただ、みけいけんの子の血は美味いし、自分だけとけいけん済みの子だとその血は更に美味い
ただ、自分以外の者とのけいけん済みの子の血は激まずだから飲めるものではない
それなのに、煌月、お前は…」

「お前には関係ないだろ、私の背中に堕印を押し、更に心臓を奪って
次は何だ?まさか私からシェリーを!」
「君からはもう十二分に奪ったよ
ただ、どうも君たちの恋愛事情が気になってしまってね」

「お前も私と同じく美しいがもてないタイプだもんな」
「ふふふ、そうだね、もてない、というか私は孤独を愛していてね
ああ、そんなことより、これを君に…」

「これは?杖!?
私の魔力はまだ宝石の中だ!」

「ふふふ、君の杖でなくて悪いがね
それにしてもどうして怪盗をして手に入れた多くの宝石から魔力を全く戻してないんだい?
まあ何となく君の望みは分かるがね
悲しむ者がいるだろう」

「で、この杖は?」
綺月はきく
その目つきはかなり鋭い

「おっと!そろそろ私は戻るよ
それではね!」


続きます

消えた思い出の写真 雪のメリークリスマス

「ん?待ってよ、僕と綺月って…両想い…なのかな?」
シェリーはふと疑問を持つ
しかし
「とはいっても!そんなこと気にしてられない!一か八か!」

そう言い、トマトジュースを口に含み…
綺月に口移しで飲ませる

綺月の冷たい唇の感触がシェリーの熱くなった身体に心地良く響く

「ん…」
「綺月!」

「シェリー?ここは…?」
「ミストリアホワイトラビット病院!…っつ…」
シェリーは言葉に詰まる

「そうか、私、身体が動かなくなって…」
「うん」
シェリーはぼろぼろ泣き出す
「すまない、シェリー」

綺月が起き上がる

「あっ!寝てていい…」

ぐいっと綺月がシェリーを引き寄せる

「愛してる」
綺月はそっとシェリーにキスをする

「き…綺月…」
シェリーの顔が真っ赤になる

「…シェリー、今日は何日だ?」
「12/24!」
「そうか、クリスマスイヴか…」
綺月は遠くを見やる
この日は二人でディナーをと思って、高級レストランを予約をしていた。
まさかこんなことになるとは
綺月は思う

ふ、と覚えのある香りが漂う
このにおいは…
綺月は顔をしかめる

「綺月?具合悪い?あっそうだ!ドクター呼ばな…」

そう言いかけた瞬間シェリーは綺月の膝の上に抱えられていた

「シェリー、メリークリスマス
ふふふ、こんなことくらいしかできないが」

綺月は不敵に笑う

「綺月…メリークリスマス
僕も…綺月のこと…好き」

綺月に寄り添い、シェリーは幸せを噛みしめる

窓の外で雪が静かに、白羽のように舞い降り始める

ひと段落!ですが
続きます!


消えた思い出の写真

「どうしたんだい、坊や」
優しい魔女のような声が病室に響く
「あっ、ごめんなさ…あなたは!!」
声の方に振り向くと先の同室の病人が近くに突っ立っていた。
おばあさんにもおじいさんにも見える、不思議な人?だ

「探し物見つけたんだろう?
褒美もたんまりだろうし、  
何を大泣きしてるんだね、坊や」

「それが…」
シェリーは涙を拭きつつおばあさんに事情を話す

「そうかい、それは悲しいねぇ
仕方ない
いいものを坊やにやるよ」

そういって同室の病人は自分のベッドに行き、
近くの机の引き出しから瓶を取り出してきた

そしてシェリーの近くに行く

「これを坊やにやるよ」
「これは…」

瓶には"トマトジュース"と書いてある

「トマトジュース!」
「私のパートナーが人外でね、予備で持っていたんだが。この年に亡くなってしまってね」
病人は言う
「そうなんですか…心中お察しします
ただ、綺月は…」

「知ってるよ、高級トマトジュースでないとだめなんだろう?」
「そうなんです…」
「それなら!君たちにうってつけだよ!」
病人の目が輝きだす

「通常のトマトジュースはね、両想いの相手に飲ませることで高級トマトジュースと同じ効果を発揮できるのさ!」
「そうなんですか!!」
ぱああとシェリーの顔が輝きだす

「ただし!口移しで飲ませることだよ!」

「えっ!」
瞬間、シェリーの顔が真っ赤になる

「そそそそそれって」

「さ、邪魔者は退散しようかね」
まばゆい光が病人を包み、その者はふっと消えた

「くち、う、つ、し…
…はっ!」
シェリーは一瞬飛んだ妄想の世界から意識を戻す

続きます!


前の記事へ 次の記事へ
カレンダー
<< 2020年01月 >>
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
プロフィール
 月†柩さんのプロフィール
系 統 おとなしめ系