初めて音劇という舞台を拝見したのですが、舞踊とダンスがどんな風に合わさるのか不思議だったのですが、拝見してどちらの雰囲気を壊すことなく見事に調和していてとても魅了されました。
また、細やかな演出がその場面を鮮明に映し出すように表現されて、そして時に易しく、時に力強く奏でられるオーケストラの演奏がそれらを一層引き立てていて、全てが新鮮で感動が収まりませんでした。

朗読で二役を演じ分けるお三方の演技力は本当に素晴らしく、また心に響きました。

ひき石のシーンはとても重くて、悲しかった。
「この石を持っていれば、どんなに遠く離れても必ず戻ってくる」
最初にこの石が出てきた時に、(これはなんか嫌な予感がする…)と思っていたら案の定で。

儀平が雪にこの石の話をした時の雪の言葉を詰まらせたあの一瞬の間が、凄く辛くなりました。

劇中には語られなかった部分(清吉と別れて沖にたどり着くまでの葛藤や、帰りを待ち続けている間の雪の心情、二人それぞれの気持ちなどを考えただけで、只々心苦しい気持ちになりました。

ラストに降る時期外れの雪( )がまた一段と切なかったです。



今回ただ一度きり、だからこそ伝わってくる出演者の皆様の強く熱い気持ちが演技となり、演奏を奏でて物語を造り上げていって……こんなにも素晴らしいこの舞台を絶対に忘れたくはないです。