今日は久々に、起きたら部屋が真っ暗だった。今週は睡眠時間が短かったからよく眠れたが生理痛に見舞われている。早く痛み止め効いて!


 すっかりご無沙汰している趣味の知り合いのことがこの頃、急に頭に浮かんで離れないでいる。彼女は今、どうしているか人伝で訊ねるほどの間柄でもないから急にこっちから連絡するのも気が引けるし、本人からなぜ突然?と驚かれそうでもある。
 彼女はアレルギー体質で食べ物に対して細心の注意を払い、一緒に食事しても食べるものは限られていた。ご主人と二人こじんまりとしたアパート暮らしで、彼女の偏食により食卓は独特のものであった。時折、職場の同僚に関する愚痴をこぼし、口から出る言葉の多くに彼女の心には前向きさがまるで無いようだった。ご主人は動物がとっても好きだったが、そのアレルギーによって犬猫はおろかハムスターすらも飼えない。そんなせいか、彼女には明らかに母性が欠落しているのが時々見え隠れした。彼女がくれた手紙は学生のような幼い文字で、文章の至るところに小さなイラストが散りばめていた。その年齢からは想像もつかないほど若々しいのだが、子どもも授かることなく夫婦で不惑を迎えていた。であるからして、夢のマイホームを建てるでもなく将来設計もまだまだ白紙で、共働きしているので生活に余裕があるらしく互いの趣味に没頭できるわけである。
 彼女がどうして目の前にいる可愛らしい猫に後ずさりしたのか、この時すべてがわかった次第。猫の愛くるしい仕草に可愛いと思わない人は少ないだろう。ましてや近年は空前の猫ブームが到来しているご時世。アレルギー体質であっても見るだけなら平気だろうと思い、無類の猫好きな私は躊躇なく頭を撫でたり、顎のところを指で擦って猫のご機嫌をとったりしたが、伴にいた彼女が早く立ち去りたい素振りを見せたので名残り惜しいがその場をあとにしたことがあった。
 アレルギー体質は仕方がないし、彼女は何も悪くないのだが、節々に見せる神経質な姿に、どうしてこうなったのか気になってしょうがなかった。さしずめ、アニメ『アルプスの少女ハイジ』のロッテンマイヤーさんの如く、常に張り詰めた状態で自制して生きるのは疲れるだろうし、ご本人はこの世の中はつらいことだらけでちっとも幸せを感じられないと思うと気の毒でしかない。
 とか何とか言って私も人様のことは言えないほど、潔癖症や気難しい性分があったが、不惑を迎える前ぐらいにだいぶ丸くなったと自負しているから言えるのである。神経質というのは自分に自信が無い人がなるものだと思っている。自分のことを認めてあげさえすれば周囲の目や言動にあたふたすることもないし、他人様と比べる必要もなくなる。要はそれを自分で気づけるか気づけないかなんだよな、とつくづく思うのだった。
 後日談というか秘密を明かすことになるが、このご主人とは彼女を通さずして昔からの知り合いで、数年前にSNSで再会した。実はこのご主人、結婚した当時から別のお料理が上手な女性がいてわが子のように愛でる猫を飼い、仕事を早く片づけた日には同僚たちを呼んで飲んだり自慢の手料理を振る舞うことができる部屋があるという。なぜ奥さんと別れないのかは夫婦の間にしかわからないが、ご主人としてはとても充実した毎日らしい。そう、いわゆる男性が好きな「放ってはおけない女」と「ほっとできる女」両方をうまい具合に使い分けているわけだ。知らぬが仏、とはよく言ったものである。







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