ファミリー劇場で放送中の『太陽にほえろ!』第443話『あなたは一億円欲しくありませんか』。
 路上で十二億円もの現金が積んである現金輸送車が何者かに強奪された。十二億円!
ドック「冗談じゃないぜ!逃げ切ったら英雄だ」 
スコッチ「捕まれればただの犯罪者!」
ドック「・・・(スコッチを見つめる)」
スコッチ「(運転中は)前を見て!」
 スコッチとドックはシミュレーションを繰り返し、検証するが、目撃者たちはパトカーしか見ていないという。ドックが、「これじゃ世界中味方に付けたようななもんだ」市民を味方に付けたから全てがわからないんだと言い、スコッチは重大なことに気づく。
「犯人は警官だ!」
 犯人を追跡した警官もみんなグル。スコッチは黒板を使って犯行の様子を説明する。犯人側は完全犯罪を目論んだつもりが、スコッチの推理で暴かれる。

↑スコッチの拳銃がこの回から44マグナムに変わった

 今回も見事な推理だったスコッチ。お馴染みの赤いネクタイ。『踊る大捜査線』の青島刑事が赤いネクタイをつけてるのは小川英先生のお弟子さんの君塚良一さんの脚本だったからという説もあるとかないとか(笑)。君塚さんの『太陽にほえろ!』での脚本もこの頃よく放送されていた。
 今回のスコッチはネイビーブルーのナポレオンコートを羽織ってて格好いい
 最後の打ち上げでみんなでビールでお祝い。ドックがスコッチに「今夜は赤坂で一杯…」行かないかというと、スコッチはみんなの顔を見ながら「んっ?んっ?んっ?」とおどけ、最後にボスに近づくと「そんなのあるわけ無いだろ!」 と一喝されるスコッチはビールを豪快に吹いてしまうのだった(笑)。ちなみにスニーカーがいつもジュースなのはバイクで帰る設定だからである。

 このあとのスコッチは長ゼリフが少なくなって、アクションで華を添えるようになる。初期の頃の非情な感じも戻ってくるけど、スコッチは訳もなく冷たくはしない。もうあの頃のスコッチではなく、後輩に見せつけて教えるのだ。スコッチがもし、死ななかったら山さんポジションにいずれはなっていただろう。それだけ推理力が抜群だった滝隆一警部補。

 沖雅也さんは当時、高速道路での大事故を起こすほどノイローゼ気味で、台詞がうまく出てこなくなっていたと言われている。「もう仕事はしたくない!」という見出しが日本中を駆け巡った。