ポケットの中身

2015/03/18 00:44 :進撃×海賊
少将で船長(リヴァロ/進撃×海賊)

※「“正義”の戒め」の続き




リヴァイ屋の掲げる“正義”は「自由な“正義”」だ。
生きる自由を全ての人間に与えたい。
だから理不尽な理由で家族も友人も故郷も、大切な人も、全部を失ったおれを拾ってそばに置いている。
お前みたいな人間を作りたくない。
そんな意味を込めて。
だけどリヴァイ屋は約束してくれた。
「お前がいつか自由になったと感じるその時まで、俺は必ずお前を助ける。自由の為に海軍を離れることになっても、海賊団を立ち上げて犯罪者になっても。」
コラさんがいなくなって、二度と人を信じることは無ぇと思ってたが、おれも案外ちょろいんだろうな。
「キャプテン、何ニヤニヤしてるの?」
「何でもねぇさ。」
「あ、リヴァイ中将のこと考えてんすか?」
「…バカシャチ。」
ため息をつくペンギンの隣のバカ面を体から切り離す。
何度こうなっても理解しない奴だな。
仲間といる時くらいは海軍のことを忘れたいってのに。
泣いて謝ってるがしばらくは放置だな。
首を傾げるベポを撫でて、海図に視線を落とす。
今は潜水艦の食堂で次のハートの海賊団の目的地を決める為に、何人か集めての会議中だった。
因みにハートの海賊団はおれが作った海賊団で、勿論船長はおれだが公には違う。
海軍少将のおれが海賊団を持っていると知っているのは、本部の偉い連中、中将クラスあたりからだ。
メディアには情報漏洩禁止の超機密事実。
だって海軍が海賊を黙認して匿ってんだからな。
王下七武海とはわけが違う。
何でおれがそんな立場で入れるかと言えば、リヴァイ屋のお陰だ。
どうやって上に圧をかけてるかは知らねぇが、自由になるまでおれを助ける、と約束したからには守らなきゃな、なんて言ってたか。
「でも船長、シャボンディまで来たのにまだ新世界に行かないんすか?」
「そうだな。シャボンのコーティングもしなきゃ魚人島には行けねぇし、何人かはこの先覇気も使ってもらわねぇとおれがいない航海は辛いからな。」
「じゃあしばらく修行とかですか?」
「ああ、そうしてくれ。おれは麦わら屋の行方も気になるからまた少し船を空ける。その間はジャンバール、お前に任せる。こいつらを鍛えてやってくれ。」
後ろの方にいたジャンバールに声をかけると、クルーは全員ジャンバールを見た。
ジャンバールはシャボンディで仲間に引き入れたばかりだ。
かつてはキャプテン・ジャンバールの名でグランドラインを駆けた海賊だが、うちでは新入りになる。
だからこの指名にはクルーもジャンバールも驚いているだろう。
「…俺でいいんですか?」
「頼む。」
「でも船長、」
困惑しているジャンバールに歩み寄って、丸太のような腕を叩いた。
「頼りにしてんだ。新世界の経験者として十分お前はこいつらの先輩なんだから、しっかり自信持ってやってくれ。」
「…船長。」
うなずくと泣きそうになっているジャンバール。
周りのクルーも何度もうなずいてジャンバールの気持ちを盛り上げた。
「航海の指揮はいつも通りベポだ。ペンギン、報告とかはよろしくな。」
「アイアイ。」
軽く敬礼なんかしやがってまぁ。
「キャプテンまたいなくなるの?」
「ごめんな。」
寂しそうにするベポに謝る。
「おれの夢の為に、強くなってくれ。」




海軍本部に戻ると、港に珍しい奴がいた。
「よう。」
「あら、トラファルガーか。」
大将青キジ。
港の隅っこでぼんやりと海を眺めていたから声をかけると、目を丸くされた。
「お前さんから話かけるなんざ、珍しい事もあるもんだ。」
「あんたこそ昼寝もしないで海見てるなんて珍しいじゃねぇか。」
「たまには考え事したい時だってあるのよ。」
隣に立って一緒に海を眺める。
「最近どうよ、海賊業は。」
「別に。あんたに言うことは何も。」
「ふーん…お前さん、あんまりリヴァイに心配かけさせんじゃないよ。ああ見えて結構繊細だからさ。」
「させてるつもりは無ぇ。」
「親の心子知らずってことわざもあんだから、コミュニケーションしっかり取ったら?」
「親が子供抱くかよ。」
鼻で笑えば短い口笛が聞こえてくる。
「何、お前さんたちそういう関係なの?」
「面倒事の責任を負う代わりに抱かせろって、笑っちまうよな。ヒナ屋とかたしぎ屋だっているだろうに。」
まぁ、あいつらが簡単に足開くとは思わねぇけどな。
「リヴァイに好かれてんねぇ、トラファルガー。」
助けてくれてんのは有難いが、海軍は海軍だ。
おれも海軍に身を置いているが海賊だし、何より弱者を救わない権力は大嫌いだ。
その事を差し引けば、まぁ、リヴァイ屋のことは嫌いじゃないが。
「ロー!」
「あれま、お怒りじゃないかありゃ。」
振り向かなくてもわかるしかめっ面にため息をつく。
ゆっくり振り向けば、案の定鬼の形相をしたリヴァイ屋が、立体機動を使って飛んできていた。
隣の青キジの後ろに半歩隠れるが、降り立ったリヴァイ屋に腕を掴まれた。
「ふらふらしてんじゃねぇよてめえ!でけぇ図体してまだガキのつもりか!」
「…近くにいた大人の例が悪かったからな。」
「あ"あっ!?」
「まぁまぁ、お二人さん。」
青キジに宥められて二人でそっぽを向く。
「仲良いね、お前さんたち。」



――――
ここで終わりです…。
すみません!!


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