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12/08/02 17:38:(0):
▼日記:
176通の君の面影


またこの時期がやってきた
毎年この季節になると悲しくなるよ

大好きな君との唯一の連絡手段が携帯で
文明にありがたみを感じた
それと同時に、逢えない辛さも知った
触れられない辛さ
寂しい時に抱き締めてあげられない辛さ

それを知ったのも、この季節


今でもそこから見てくれていますか
あの大きな入道雲のはじっこに腰掛けて
見てくれていますか
もう四年も経つね
この四年で沢山変わったよ

世界も俺も

ふと思ったんだ
あの頃、スマホなんてなかったね
君が病気のせいで、なかなかメールが打てないと言っていたのを思い出して
思ったんだ

スマホだったら触るだけだろ?
残念だったなぁ
あの頃に既にスマホが出てればな
そしたら、ラインってアプリで
沢山話せたのに

あ、俺のじいちゃんとは逢えた?

今年の2月にそっちに行ったからさ
逢えてたら嬉しいな

面倒見のいい人だから
きっと面白いはず


こんな風にさ
ネットワークの中に
君に話しかけるようにしたって
ホントに伝わってるのかもわからないし、空見上げて話しかけたって
実感わかないんだ

だからこうして って、これ、言い訳にしかならないよな


君が、君の最後の時間で送ってくれた176通のメールは
四年たった今でも、大切に保存してるから

奈々
沢山の優しさを教えてくれてありがとう

今の俺は
あの頃の俺からしたら
随分と変わってしまったと思う
それだけ世の中を見て
濁ってしまったよ

奈々と一緒に逝くことが出来たらよかったのに

なんてな
たまにメールを読み返すけど
もう泣かなくなったよ
俺も大人になったろ?

強くなった
その代償に、泣けなくなった

声をあげて泣くなんてこと
もう何年してないんだろ

人生に価値を求めるようになった
その分、目標や夢がなきゃ生きる意味が分からなくなった


人を信じる心も消えた

どんどん駄目になっていくけど
奈々が教えてくれた優しさと愛する心だけは
なくさないから

また、23日後の命日にね


 


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