ミーナは夢を見ていた。
眠りながら、これは夢だと悟る。
蝶の翅を翻し、ひらひらと舞い遊ぶ夢。
肉体から解き放たれた魂が見る、自由な夢。
シャボン玉の色をした風景をどこまでも飛ぶ。
時折風景が像を結び、溶けるように消えていく。例えば、魔法使い達が遺跡の完成を喜ぶ光景。大陸に七つ配置した転移装置の最後のひとつが完成し、魔王の軍勢に邪魔されずに一気に大量の人や物が行き来できるようになったことを喜んでいる。
これは遺跡の記憶だ。
そして、今はミーナの記憶でもある。
ミーナが遺跡になったのか、遺跡がミーナになったのか、それは誰にもわからない。だが最早そのことは問題ではないのだ。